数多くのIT動向において、国内ユーザー企業で最も成功している取り組みの一つがサーバー仮想化である。図1はアイ・ティ・アール(ITR)が毎年実施している国内ユーザー企業に対するアンケート調査の結果。この中で重要度、実施率ともに高い唯一のテーマが「サーバー仮想化技術の導入」である。

図1●企業におけるITに関する取り組みの動向
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 サーバー仮想化が注目される理由の一つは、仮想マシン(VM)のライブマイグレーションが可能なことである。VMで提供しているサービスを停止させることなく、物理的に別のサーバーにVMを移動させるこの技術は、災害や障害でシステムが停止した際のディザスターリカバリー(災害/障害対策)にも利用できる。定期メンテナンスにも応用が可能である。

サーバー仮想化にネットワークの課題

 ただ実際のところ、どんな環境でもVMを容易かつ迅速に移動させられるわけではない。ライブマイグレーションのためには、VMの移動先となるサーバーマシンが、レイヤー2の同一セグメント、同一VLAN(バーチャルLAN)に接続されていなければならない。異なるロケーション、別のVLANにあるサーバーマシンに移動させるには、関係するネットワーク機器それぞれに対して、VLAN設定などの変更が欠かせない。この変更作業には手間と時間がかかることが多く、無停止稼働の障壁になっている。

 こうした課題の解決策として注目されているのが、ネットワーク仮想化である。ネットワーク仮想化というと、主にクラウドサービスなど、マルチテナント型システムのインフラ向けという印象が強いかもしれない。ただエンタープライズ(企業)システム向けでも、パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方を活用するハイブリッドクラウドを含め、データセンターとパブリッククラウドのシームレスな運用を可能とする点で、期待は大きい。

ポイントはココ!
■要件はライブマイグレーションへの対応、近道は単一ベンダーのファブリックスイッチ利用
■マルチベンダー指向なら標準技術の採用を重視、将来に向け新技術「OpenFlow」の対応状況もチェック

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