「現場や顧客の生の声がみんなに届きやすくなった」「やり取りするメールが大幅に減って、情報が埋もれてしまうことがなくなった」「担当者同士のメールに隠されてしまっていた情報を、チームで共有し、いつでも確認できるようになった」「使ってみて、予想よりはるかに効率的に、情報や知識を共有できることを実感した」──。
いま企業の間で、新たなコミュニケーションツール導入が進んでいる。楽天、双日、パナソニック、リコー、KDDI、ロフトワーク、SBIモーゲージなど、業種は様々(表1)。冒頭のコメントは、これら導入した企業の現場から聞こえる声である。
社内/組織内用のFacebook
これらの企業が導入しているのはソーシャルウエア。一言で表すと「企業内コミュニケーション用のFacebook」である。これを活用して従業員同士のつながりを深め、組織の壁に阻まれることなくスムーズに情報が流れる、いわば「ソーシャル・イントラネット」(以下、ソーシャル・イントラ)を作る。
Facebookとの違いは、これらのツールが基本的に企業の中、もっと言えば特定のユーザーグループで使うことを前提としている点だ。メンバーとなる従業員が書き込んだメッセージは、そのままグループ全員の「タイムライン」に表示される(図1)。タイムラインというのは、自身を含むメンバー全員のコメントや行動(アクティビティー)を時系列に並べて表示するユーザーインタフェース。プロジェクトなどの単位でグループメンバーを指定し、メッセージを共有できる。メッセージに対してコメントを返すこともでき、「連絡事項や質問に、素早く反応できるようになる」(ロフトワークの諏訪光洋社長)。意見を出し合い、アイデアを練ったり、議論したりするのにも役立つ。
メッセージはスレッド状に表示され、画面をスクロールしていけば過去のやり取りを確認できる。検索も可能だ。パナソニックのコーポレート情報システム社インフラソリューションBUの福永憲一グローバルコミュニケーションGチームリーダーは、「蓄積したメッセージは、FAQ(よくある質問)や備忘録、簡易なナレッジベースとして利用できる」とする。
利用するツールによっては、メンバーのタスクを管理できる(図2)。あるプロジェクトで、メンバーに課されているタスクとその進捗状況を共有できる。他のユーザーやアクティビティーをフォローしたり、「いいね!」(Like)ボタンを押したりといったことが可能なツールもある。こうした機能を駆使すれば、従来以上に広範囲のメンバーと、コミュニケーションを深められる可能性が生まれる。