日々の進捗やメンバーの負荷などプロジェクトの状態を数値でつかむ。そんな定量的マネジメントの無償ツールが登場し、話題を呼んでいる。ツール開発者が活用法を解説する。

 高い品質や新技術へのチャレンジを求められるが、予算も工期もギリギリで余裕はない。そんな難しいプロジェクトが増えるに伴い、プロジェクトマネジャー/プロジェクトリーダー(以下プロマネ)には、緻密なマネジメントが求められている。

 利用部門からの仕様変更の要求を受け入れるかどうか、納期を守るために何人のメンバーを補充するか、どのサブチームを重点的にテコ入れするか――。そうした判断が不適切だったり遅れたりすると、プロジェクトの成功はおぼつかない。ITの現場を率いるプロマネの責任は重大である。

 筆者は業務システムやパッケージソフトの開発プロジェクトを中心に、これまで20年以上にわたりプロマネを務めてきた。その経験から言えるのは、厳しいプロジェクトでは「定量的なマネジメント」が効果を発揮する、ということである。

 ここでいう定量的なマネジメントとは、進捗やメンバーの負荷といったプロジェクトの状態を「数値」として把握し、いち早く的確に手を打つことだ。

 この定量的なマネジメントを実践するには、そのためのプロジェクトマネジメントツールが不可欠である。実は、筆者はプロマネとしてのキャリアにおいて、そのツールを使えたときと、使えなかったときがあった。ツールがなかったプロジェクトでは、チームのパフォーマンスを十分に高められず、悔しい思いをしたことがある。定量的なマネジメントを行うツールの重要性は、痛切に感じている。

 その経験から、定量的なマネジメントを実践するための無償ツールを作りたい、と考えるようになった。情報処理推進機構(IPA)で1年以上にわたってツールの開発に取り組み、今年4月にツール全体を完成させた。名称は「定量的プロジェクト管理ツール」とした。

 2012年4月下旬にツールの配布を始めたところ、想定件数を大きく超えるダウンロードでサーバーが一時パンクした。反響の大きさに驚かされている。

 みなさんにもぜひ使っていただき、チームのパフォーマンスを高め、プロジェクトを成功させてほしい。その思いでこの筆を執った。

 以降では、まず定量的プロジェクト管理ツールの利点を解説した上で、ツールの構成とプロマネやメンバーが入力する情報を示す。そして最後に、プロマネによるツール活用の具体的な方法を紹介する。

進捗率やメンバーの負荷をグラフ化

 定量的プロジェクト管理ツールで何ができるのか。そこから説明しよう。

 図1を見てほしい。これらは定量的プロジェクト管理ツールによって出力された、プロマネ向けの画面である。進捗率、メンバーの負荷(作業時間)、課題、テスト工程で見つかった不具合(障害)といった情報について、計画値と実績値を対比させながら、グラフや表として参照できる。

図1●ツールで分析できる定量情報
定量的プロジェクト管理ツールは、進捗、課題、メンバーの負荷、テストで検出した不具合(障害)などの定量情報を収集し、グラフや表で提示する。さらに、情報のドリルダウン、複数プロジェクトの情報一覧化などの機能によって、プロジェクトマネジャーによる情報分析を支援する
[画像のクリックで拡大表示]

 詳しくは後述するが、例えばプロジェクトの進捗が計画通りか・遅れているのか、このまま進むといつ完了するのか、といったことについてグラフで把握できる。プロジェクト全体だけでなく、要件定義や基本設計といった工程別、工程のなかの作業(タスク)別に参照することも可能である。

 複数のプロジェクトを掛け持ちで担当しているプロマネもいるだろう。定量的プロジェクト管理ツールでは、各プロジェクトの情報を取りまとめて表示させることができる。例えば、プロジェクトA、B、Cの進捗率の推移を、一つのグラフ内の3本の折れ線で表せる。プロマネはこうした情報を見ることで、どのプロジェクトに重点的に関わるべきか、という判断がしやすくなる。また、EVM(Earned Value Management)という管理手法を併せて導入することによって、成果物の出来高や生産性の管理も可能になる。

次ページ以降はITpro Active会員(無料)の方のみお読みいただけます。