Bring Your Own Device(BYOD)─個人所有のデバイスを持ち込んで業務に活用する─という新しい端末の利用形態が注目を集めている。今ではIT業界で最も注目されているキーワードの一つである。まだ多くはないが、既にBYODを取り入れている企業も徐々に増えてきている。例えば、アジア航測、インテル、ユナイテッドアローズなどだ。

 その背景には、iPhoneやAndroid端末といった新しいタイプのスマートフォンの普及がある。これらのスマートフォンは、多くの人々が個人で利用するために購入している。使い勝手のよい大画面タッチインタフェース、クラウドとの親和性、優れたモバイルアプリケーションの充実─。データ端末として従来のフィーチャーフォンよりも圧倒的に優れるスマートフォンは、2011年通期で携帯電話機の出荷台数の半数を超えている。

 一方、企業内はどうか。既に従業員に配られている端末は、大半が旧態依然としたフィーチャーフォン。通話には適しているが、小さい画面、低速で使い勝手の劣るユーザーインタフェースで、メールやスケジュールを確認するのにも不満が出る。会社支給の端末の代わりに、自分のスマートフォンを業務に使いたいと声を上げても不自然ではない。

 実際、インテルでは、ユーザーの強い要望に押される形でBYODへの対応を決めた。同社は2008年頃、IT部門に何を期待するのか従業員の声を集めた。「ユーザーに何をやりたいのか尋ねたところ、私有のスマートフォンから会社の情報にアクセスしたいという声が多く上がった」(同社の富澤直之情報システム部長)。ユナイテッドアローズも、iPhoneでGmailを使いこなしている社員が「これで会社のメールを見られれば業務の効率が上がる」という声を出し始めたことがBYODに取り組むきっかけの一つとなった。

 パソコン(PC)でも同様で、企業から支給されたPCは10年前のWindows XP搭載機が現役だったりする一方で、個人ユーザーが手にするのはMacBook AirやUltrabookの最新機種という状況が生まれている(写真1)。

写真1●BYODでは多種多様な最新端末が使われる
最新のスマートデバイスやノートPCの数々。BYODでは、こうした様々なサイズ、様々なプラットフォームの私有端末が使われることが前提となる。
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