1. iPhoneを勤怠管理の端末に使い、データの入力/修正負荷を軽減 2. iPhoneからGoogle Appsを利用することで、派遣元企業への帰属意識を熟成 |
製薬会社に対するMR(Medical Representatives、医薬情報担当者)の人材派遣やMR業務の請負を手がけるアポプラスステーションは2012年4月、同社に所属するMR全員に「iPhone 4S」を配布し、それまで使っていた携帯電話をリプレースした(図1)。MRとは、病院や薬局の医師、薬剤師に医療用医薬品の情報を提供する専門職のことだ。
狙いは二つある。一つは、MRの勤怠管理の省力化である。そもそも、派遣元企業にとって勤怠管理はなくてはならない業務であり、誰がいつどれだけ働いたのかを把握する必要がある。もう一つの狙いは、使いやすいグループウエアの提供である。派遣元に対する帰属意識を高める効果がある。
同社は、これまでも段階的に勤怠管理などの機能や使い勝手を進化させてきた。iPhoneの全MRへの導入は、こうした改善の一つの集大成だ。MRへの全面導入に当たってはアドレス帳の移行作業などの苦労点もあったと、情報システムグループの佐藤陽一マネージャー(写真1)は振り返る。
Excelの勤怠管理をSaaSに移行
従来、同社の勤怠管理は手動だった。MRにExcelファイルを渡して勤怠情報を入力してもらい、月次で取りまとめて本社の管理部門が入力していた。書き間違いもよくあり、その都度、書き直してもらっていた。MRの負荷も、管理部門の負荷も、ともに高かった。
2010年4月に、この方法を改めた(図2)。
Excelから、SaaS(Software as a Service)型の勤怠管理システムへと切り替えたのである。SaaSとして採用したのは、ユニテックシステムが提供するWeb勤怠管理システム「e-naviシリーズ」。クライアント端末としては、当時MRが使っていた携帯電話をそのまま利用し、携帯電話からインターネットとWebを介して勤怠データを入力できるようにした。
ただし、携帯電話の画面が小さいことから操作性は決して良いとは言えなかった。さらに、入力を間違えたときの修正機能がないことも問題だった。データを修正するためには、別途パソコンから勤怠管理システムにアクセスする必要があった。
携帯電話とパソコンを併用しなければならない点は、重大な問題だった。なぜなら、派遣元企業の勤怠管理はMRの本来の業務とは異なっており、派遣先のパソコンを使って処理するべき作業ではないからだ。Excelファイルへのデータ入力程度であれば、派遣先のパソコンを借りることは可能だが、インターネット(SaaS)に接続するとなると話は別である。