皆さん、こんにちは。日本仮想化技術の宮原と申します。この連載では、普段から仮想化技術専門のコンサルタントとして活動している私の眼で見た、最近の仮想化関連技術の動向について、毎回テーマを決めてお話ししていきたいと思います。
第1回目は、先日Release Preview版が公開された「Windows Server 2012」に搭載されてくる「Hyper-V 3.0」について見てみようと思います。
現在のハイパーバイザー市場の状況
現在のハイパーバイザー市場を見てみると、まず選択肢に挙がってくるのはVMwareの「vSphere」かと思います。vSphere 4.1 Update1から、一番下のランクにあたるStandard EditionでもvMotion(ライブマイグレーション)が使用できるようになったため、若干お得感が出るようになりました。
しかし、vSphere 5からはプロセッサライセンスは多少残しつつも、メモリーリソース量についてもライセンスの縛りがかかるようになってしまい、大量のメモリーを搭載してライセンス料を安くする構成が取れなくなってしまいました。あまりCPUを使用しない仮想マシンをたくさん動かしたいユーザーからすると実質値上げとなっており、コストの面から、なかなかvSphere 5へのバージョンアップもできないという状況が続いています。
仮想化技術はコストダウンの側面から積極的に導入が進められてきましたが、導入が一段落ついたユーザーからはさらなるコストダウンが求められており、そのような要求の中でHyper-Vへの注目が高まっているのが現在の状況です。
Hyper-V 3.0の市場へのインパクト
Hyper-Vは、Windows Serverの標準機能として搭載されているハイパーバイザーです。一番のメリットは、Windows Serverの一機能としてライセンスに最初から含まれていることです。ハイパーバイザーに対するコストは実質的にゼロということになります。
一方で、「Windows Server 2008」に含まれていたHyper-V 2.0では、機能的な面でvSphereと比較して物足りない面があることから、既にvSphereを導入したユーザーの仮想化環境をHyper-Vで置き換えるまでには至っていません。
Hyper-V 3.0では、この物足りなかった部分がかなり解消されたことで、今後新規で仮想化環境を構築する場合だけでなく、ある程度期間が経過した仮想化環境をさらに移行させる「V2V(Virtual to Virtual)移行」の移行先としても、活用される可能性が出てきたと見ています。
Hyper-V 3.0の変更点はかなり多岐に渡っていますが、その中から私が注目している点をいくつか挙げてみようと思います。