人材計画の立案や採用、評価、目標管理、学習管理、人材配置など、「人材活用」にかかわるあらゆる業務を支援する「タレントマネジメント」と呼ぶ業務アプリケーション分野が、注目を集めている。
グローバル化の波が押し寄せる中、企業や国の垣根を越えて、企業グループ全体で、適切な人材を採用・育成し、適切なポジションに配置したい、というニーズが強まっている。こうした背景から、企業グループ全体でグローバルに人材情報を管理できるタレントマネジメントソフトを導入する企業が増えている。
中核機能は、人材の「見える化」
タレントマネジメントの中核機能は、人材の「見える化」である。そのために、個々の社員の“カルテ”のような人材データベースを構築し、共有する(写真1)。
人材データベースには、個々の社員の経歴や評価(本人/上司の評価および周囲からの評価)、業績、コンピテンシ(特徴的な能力、特性)、研修履歴といった、人材に関する様々な情報を登録する。タレントマネジメントソフトは、この人材データベースを利用して、下記に示すような、人材を活用するための多くの機能を提供する。
- 会社や部門の目標と関連づけた個々の社員ごとの目標設定
- 社員の業績を登録/把握/評価できる業績管理
- 360度評価(部下や同僚などによる多面評価)や評価調整などの評価支援
- eラーニングや研修の受講計画や履歴管理、ナレッジマネジメントなどによる学習管理
- 業績や評価の情報を活用して、担当者/ポジションの後継者を選ぶ後継者計画(succession planning)
- 内定者や採用活動の支援
- 人事/給与/労務管理といった人事システム
タレントマネジメントソフトのユーザーは社員全員である。例えば、管理職や人事担当者は、可視化された人材データを活用して組織計画を立案したり、部下を評価したりする。一方、現場担当者は、グループウエアのように、自己評価や実績などを日々入力するほか、SNS機能などを活用してコミュニケーションを図る。人事データベースに掲載されている社員全員が使うため、配布が必要な専用のクライアントソフトではなく、誰でもすぐに使えるWebブラウザによるユーザーインタフェースを採用しているソフトが多い。
一方、サーバーソフトは、多くの場合SaaS(Software as a Service)型で利用できる。特に、タレントマネジメント専業のソフトウエアベンダーは、ERPベンダーなどとは異なり、SaaS型に限ってサービスを提供しているケースが多い。