IDC Japanは2012年7月19日、サーバーを10台以上導入する国内ユーザー企業に対するユーザー動向の調査結果を発表した。IDCはこの調査結果から、垂直統合型製品に対するユーザーニーズとサーバーベンダーが提供している同製品との間にギャップがあると分析している。

 ユーザーへの調査結果では「垂直統合型製品に求める最適な統合の範囲」は、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器など、ハードウエアからアプリケーションまでを統合したもの(統合レイヤ1~5)であるとの回答が最多だった(図1、図2)。これに呼応するかのように、現在サーバーベンダーが提供する垂直統合型製品は、「統合レイヤ1~5(ハードウエアからアプリケーションまで)」に分類されるものが多い。

図1●垂直統合型製品に含まれるシステム構成要素の最適な範囲
図1●垂直統合型製品に含まれるシステム構成要素の最適な範囲
出典:IDC Japan(2012年7月19日)

図2●垂直統合型製品の構成要素と統合範囲の概念図
出典:IDC Japan(2012年7月19日)
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 しかし、実際にユーザー企業が採用している、もしくは採用予定がある垂直統合型製品は、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器といったハードウエア(統合レイヤ1)と、ハードウエアからデータベースまでを統合したもの(統合レイヤ1~4)という結果が出た。これは、垂直統合製品に対するユーザーニーズとサーバーベンダーが提供している同製品との間にギャップがあることを示唆しているとIDCではとらえている。

 また、垂直統合製品のシステム構成要素のうち、他社製品への乗り換えが特に困難なものは、「データベースソフト」「サーバー」「オペレーティングシステム」「アプリケーション」であるとユーザー企業が認識していることがわかった。

 このことからIDCでは、垂直統合型製品では「データベース」「サーバー」「オペレーティングシステム」「アプリケーション」を核にすえることが重要になるとしている。ただし、サーバーやオペレーティングシステムについては、一部の例外的製品を除けば標準化が進んでおり、製品単体での差異化を追求すると価格競争力が逆に低下するという状況にあるため、IDCは中核にすえるべきシステム構成要素として「データベース」および「アプリケーション」を挙げている。

 またIDCは、IT部門が最優先課題としているのが「運用管理の効率化」であることから、垂直統合型製品の構成要素として「統合運用管理ツール」の重要性が増すと指摘、中期的にはサービスオートメーションを支援し、負荷に応じてシステムリソースを動的配分するといった機能の充実がユーザーニーズに応えていく上で不可欠となるとしている。