レンタルサーバー事業を営むファーストサーバ(大阪市)で起きたデータ消失事件は、改めてデータバックアップの重要性を痛感させるものだった。事件は2012年6月20日に発生。バグのある脆弱性対策プログラムを本稼働サーバーとバックアップサーバーの双方に同時に適用するという単純ミスで顧客データが消失し、復旧もできない事態となった。
レンタルサーバーなど社外のサービスを利用する場合、ユーザー自身がどこまでデータをバックアップしておくかは、データの重要性やサービスの品質などにもとづいて個別に判断することになる。
今回のデータ消失事件では、ファーストサーバ側に責任があることはもちろんだが、バックアップを実施していなかった顧客企業に問題がなかったとも言い切れない。ファーストサーバのサービス約款では、「契約者は(中略)、サーバー上において利用、作成、保管記録等するファイル、データ、プログラム及び電子メールデータ等の全てを自らの責任において利用し、保管管理し、且つ、バックアップするものとします」と明記されていた。実際、ファーストサーバーを利用していた企業のいくつかは、自社で取っていたバックアップを使って、いったん消滅したWebサイトを短期間で復旧させている。
最近ではストレージの価格が下落している上、オンラインストレージなどバックアップに手軽に利用できるサービスも増えている。以前に比べ、安価かつ手軽にバックアップを実施できる環境が整いつつある。
以下、バックアップに利用できる最新のストレージ装置とオンラインストレージの動向を紹介する。
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【DRのためのクラウドストレージ選択・活用のポイント】
- 第1回:東日本大震災後の企業における災害対策と取り巻く状況
- 第2回:クラウドストレージは費用対効果に優れたDR手法を実現する
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【オンラインストレージの最新動向】
- オンラインストレージ主要12サービス徹底比較
- クラウド型バックアップ:BCP強化の要として注目度アップ
- ストレージクラウドは2014年に314億円市場へ
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【ストレージ装置選択のポイント】
- ノーク岩上の賢いIT選び:安易なストレージ投資は後悔のもと
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【ストレージ装置】
- ストレージ仮想化ソフト搭載の低価格NAS
- インライン重複排除の仮想テープライブラリ
- OSSベースで低価格の企業向けイメージバックアップソフト
- 仮想環境に適したスケールアウト型iSCSIストレージ
- UPS内蔵の部門向けファイルサーバー
- テープ置き換え狙う重複除外ストレージが約100万円
- NetBackup新版は増分からフルバックアップを自動生成
- サーバー復旧がわずか10分。復旧に主眼を置いたバックアップ・ソリューション
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【オンラインストレージ】
- BCP対策向け重複排除オンラインバックアップ
- 10GBが月額525円の即時バックアップサービス
- Google Drive、最大16Tバイト、多彩なWebアプリ連携が強み
- SkyDrive、フォルダ同期に対応、有料メニューも導入
- Yahoo!ボックス、一般会員5Gバイト、プレミアム会員50Gバイトが無料
- Amazon Cloud Drive、Amazon会員に有利なクラウドストレージ
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【インタビュー/技術解説】
- 事業継続と災害復旧の分野に集中、米ファルコンストア・ソフトウエア
- 最新ITを読み解く、 ビッグデータを圧縮する重複排除