本稿はクラウドストレージサービスの価値、およびその選択・活用ポイントを紹介する連載の第2回目となる。前回は、東日本大震災後の企業における災害対策と取り巻く状況について解説した。今回は、DR(ディザスタリカバリの略。被害からの回復措置災害復旧のこと)の基礎と代表的ソリューションを紹介する。

 レンタルサーバー事業者であるファーストサーバにおいて2012年6月20日に発生した顧客データ消失を伴う大規模障害は、国内のユーザー企業およびITサービス事業者を震撼させた。ファーストサーバの発表によると、本番サーバーとバックアップサーバーの両方に対し、バグのある脆弱性対策プログラムを適用するという極めて単純なミスで、多くの顧客データが復旧不可能な状態となったという。

ファーストサーバー事件で改めて認識されたバックアップの重要性

 顧客企業のデータを預かる事業を行っているファーストサーバの責任が非常に重いことは論を俟(ま)たないが、バックアップを実施していなかった顧客企業にも問題がある。ファーストサーバのサービス約款には、「契約者は(中略)、サーバー上において利用、作成、保管記録等するファイル、データ、プログラム及び電子メールデータ等の全てを自らの責任において利用し、保管管理し、且つ、バックアップするものとします」と明記されているのだ。

 企業の重要なデータを外部の事業者に預ける行為自体は間違っていないのだが、事業者のサービス内容および契約内容を十分理解した上で利用していた企業がどれほどあったのか疑問である。

 本障害は、ITサービス事業者には自ビジネスの責任の重さを、そして、ユーザー企業にはバックアップの重要性を改めて認識させるものとなった。

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