便利機能(6)
疑似的な連携先システムを生成

 テスト準備では、クライアントやサーバー環境、テストデータを用意するだけでなく、連携先のシステムをどう手配するのかも検討しなければならない。連携先が稼働中なら、影響を最小限に抑えるために休日や夜間のわずかな時間でテストしなければならない。連携先が開発中の場合は、その完成までテストができない恐れもある。相手があることへのもどかしさは、特にPMなら誰もが経験することだろう。

 便利機能(6)は、そんな連携先のシステムを疑似的に生成する機能だ。米Parasoftの「Virtualize」は、連携先システムをモニタリングし、その振る舞いから疑似的にソースコードを生成する。振る舞いのモニタリングだけでなく、通信ログやトランザクションを解析して生成することもできる。

 もちろん本来の連携先システムとは内部仕様が大きく異なる可能性がある。それでもリクエストを受け付けて結果を返すという一連の振る舞いが可能なソースコードを、早い段階で手に入れられる利点は大きいはずだ。

テストスクリプトの呪縛から解放

 以下の(7)と(8)も、テスト準備の便利機能である。だが、これらはテストツールを導入して初めて負担になるものだ。具体的には、テストスクリプトの作成/メンテナンスに関する機能。実際、テストスクリプトの負担がネックとなって、テストツールの導入を控えるという現場も少なくない。“テストスクリプトの呪縛”ともいえるこうした状況を解放する機能が、ここにきて登場し始めたのだ。

便利機能(7)
GUI上でスクリプトをメンテナンス

 テストスクリプトは、画面に対するマウスやキーボードの操作をキャプチャーし、JavaScriptやVBScriptなどのスクリプト言語で記述したものである。通常は、1度操作した内容をツール上でスクリプト化し、次に同じ操作を実行する際にそのスクリプトを使ってテストを自動化する。

 ところが画面のレイアウトや部品の配置が変わると、同じスクリプトを使えない場合がある。これを修正するにはスクリプトそのものに手を入れる必要があり、言語への理解が要求された。結局、手作業でもう1度同じテストを繰り返すという悪循環だった。

 実はこうした状況は、最近改善されつつある。スクリプトの編集画面に、スクリプトの内容と連動するGUI上のアイコンやプロパティーを表示。それを編集することでメンテナンスが可能なツールが増えている。中には英Micro Focusの「Visual Test」のように、スクリプトの言語レベルでの編集を完全に排除する機能を持つテストツールも出てきている(図6)。

図6●GUI上でテストスクリプトをメンテナンス
テストツールを導入すると、必ずといっていいほどテストスクリプトの煩雑さに頭を悩ます。英Micro Focusの「Visual Test」は、テストスクリプトのメンテナンスをビジュアル化。GUI上のアイコンや画面イメージ、プロパティーの操作でメンテナンスできる
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 Visual Testで画面操作を記録すると、それがGUI上でアイコンやプロパティーとして展開される。具体的には、上部に画面レイアウト、下部に画面遷移を示し、右側に画面操作のステップを手順に沿って表示する。入力値や期待値、画面遷移の変更は、このGUI上で行えばよい。これなら画面操作情報のメンテナンスの負担を抑えられる。

 マイクロフォーカスの山城裕一氏(技術部 AMQ ソリューション マネジャー)によると「オフショア開発から上がってきたプログラムの受け入れテストで利用が広がりつつある」という。プログラムの内部仕様を知らない、あるいはプログラミング言語やスクリプト言語のスキルがあまりなくてもテストを実施できるためだ。同ツールは、Webブラウザーの種類やバージョンの違いに関する情報を内部的に持ち、一つの画面操作を複数の異なるWebブラウザーで実行できる特徴もある。Webブラウザーの多様化によって高まる負担も、こうした機能で解消できる。