前回は、IT製品(ソフトウエアパッケージ、ハードウエア、クラウドサービスなど。以後、「製品」と略す)を正しく選定するためには、製品とITベンダーのどちらを優先して検討すべきなのか、について検討した。

 そこでは、「1社または複数のメインベンダーを決め、そのベンダーで解決できない場合は他のベンダーから調達するという『めりはりのあるマルチベンダー』が望ましい姿であり、メインベンダー選定のためには、事前に自社ITアーキテクチャ標準を策定しておくべきである」と述べた。今回は、製品/ベンダーを正しく選定するためのRFI(Request for Information、情報提供依頼書)/RFP(Request for Proposal、提案依頼書)の作り方について述べてみたい。

意外と知られていないRFIの正しい作り方

 RFPに比べてRFIは意外と知られておらず、正しく活用している企業は多くない。筆者は国内企業の製品/ベンダー選定に関するコンサルティングをよく行っているが、図1のようなRFIを見ることが多い。

図1●間違ったRFIの例
図1●間違ったRFIの例
出典:ITR

 冗談のようなRFIだが、本当に「情報提供をお願いします」としか書かれていないRFIは存在するのである。このような、何を要求しているのか分からない曖昧なRFIを受け取ったベンダーが非常に困惑することは想像に難くない。

 この結果、ベンダーの多くはどのような情報を提供すべきなのかが分からず、種々の製品カタログや事例をバインドした資料を提出することになる。そして、それらの情報はそのベンダーのWebサイトに公開されているものばかりであることも少なくない。

 逆に、RFPのように自社のビジネス/システム要件を記載し、見積りまで要求するRFIも希にではあるが存在する。これらの企業は、RFIの意味を十分理解していないのだ。

 海外ベンダーに比べ、国内ベンダーはWebサイトでの情報公開に消極的な企業が多い。ベンダーのWebサイトには「製品の詳細内容に関するお問い合わせは〇×部門へお問い合わせ下さい」という記述が散見される。なぜ情報公開しないのか理解に苦しむが、現実はそうなのである。こうした状況下で、ユーザー企業が製品/ベンダーに対する情報を獲得する数少ない機会が、RFIなのである。

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