かねてうわさに上っていた米Googleの参入で、オンラインストレージ(あるいはクラウドストレージ)市場が、にわかに活気づいている。同社の投入した「Google Drive」は、従来のGoogle Docsの発展形であり、Webブラウザで様々な文書を編集できるなど、Google Appsとの連携機能が強み。5Gバイトまで無料だ(図1)。
これに前後して、真っ向から競合する米Dropboxの「Dropbox」は共有リンクとビューアを強化、米Microsoftの「SkyDrive」はフォルダ同期機能と有料メニューを導入、米Amazon.comの「Amazon Cloud Drive」は便利なクライアントソフトを追加するなど、対抗策を矢継ぎ早に打ち出した。米Appleの「iCloud」も日本でのiTunes Matchサービスの年内開始をほのめかすなど、存在感をますます増している。
マルチデバイスの使い分けが流行を後押し
モバイル端末の多様化とクラウドサービスの発達は、人々を時間と場所から解放しつつある。企業にとっても人材確保や事業継続の面で、大きなメリットをもたらしている。
オンラインストレージは従来、電子メールに添付できない大容量ファイルの受け渡しや、共同作業におけるフォルダ共有の場として使われてきた。だが昨今、TPOに応じてスマートフォンやタブレット端末、モバイルPCを使い分けるマルチデバイスの流行により、これらデバイスのフォルダ内容を自動的に同期させ、例えば会社でやりかけの仕事を移動中や自宅で続けるといった自由なワーキングスタイルが可能になった(図2)。
万一のバックアップという面でも、オンラインストレージは重宝する。例えば、端末が故障しても、別の端末に専用クライアントソフトをインストールしてログインするだけで、元の状態を簡単に復元できる。サービスのなかにはDropboxのようにファイルの変更履歴を自動的に記録し、削除したファイルの復元や任意の時点にファイル内容を戻せるものもある。
最近は音楽や動画、電子書籍をオンラインで購入するのが珍しくなくなっている。すでに米国では、iTunesやAmazon.comをはじめ、コンテンツをクラウド上で管理することで、これらの著作権問題をクリアしている。Amazon Primeのように、あたかも図書館のごとく電子書籍の無料貸し出しができるサービスもある。こうした利便性の実現にも、クラウドストレージが一役買っている。