ユーザー企業がIT資産を持たずに、「プライベートクラウド」を構築できる時代がやってきた。複数の企業でサーバーなどを共用するパブリッククラウドのサービスで、自社独自のクラウドを作り込める付加機能が充実してきたからだ。システムの柔軟さと運用コストの削減を両立できる最新のクラウドサービスを紹介する。

 プライベートクラウドの構築方法が変わりつつある。これまでは自社のデータセンターに、自前で仮想サーバーなどを整備することが主流だった。新しい潮流は、複数の企業で共用するパブリッククラウドのIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を使って、プライベートクラウドを構築することだ。

 パブリッククラウドのIaaSというと、多くの人は融通が利かないイメージを持つだろう。登場し始めた数年前は、ITベンダーが指定した標準構成の仮想サーバーやミドルウエアを利用し、ユーザー企業が自由にカスタマイズできなかったからだ。

 だが、最近のIaaSは違う。システムの一部分だけを専用したり、自社独自の仕様にした物理サーバーを丸ごと借りたりもできる。余っているCPUリソースを一時的に無料で開放する気の利いたサービスもある。パブリッククラウドと自社を専用線で結び、あたかも自社内にあるかのように利用することも可能だ。

 こうした様々な選択肢を組み合わせることで、システムを自前で持たなくても、自社独自の設計仕様や性能仕様を実現できるようになった(図1)。

図1●新しいタイプのパブリッククラウドサービスの特徴
図1●新しいタイプのパブリッククラウドサービスの特徴
ユーザー企業は様々な選択肢を組み合わせ、自社仕様のクラウドを構築・利用できる

パブリックへの抵抗感が薄れる

 「セキュリティの不安もなくなりつつある」(NECビッグローブビジネスサービス事業部の小山悟主任)。多くのパブリッククラウドサービスでは、VLAN(仮想LAN)などの技術を使って、論理的にユーザー企業のシステムやネットワークセグメントを分離する。「クラウド関連技術に対するユーザー企業の理解が進んだことで、パブリッククラウドを使うことへの抵抗感が薄まってきている」(同)。

 プライベートクラウドをターゲットにした、様々なサービスが続々と登場している()。それらの機能やオプションサービスを見てみると、「こんなことまで実現できるのか」と思うものも多い。以下では、IT資産を“持たない”プライベートを構築するために有用な、パブリッククラウドサービスの最新機能・サービスを紹介しよう。

表●「プライベートクラウド」として利用できるクラウドサービスの例
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