独SAPと米オラクル。世界の2大ERP(統合基幹業務システム)パッケージベンダーが、スマートフォンやソーシャル、クラウドコンピューティングといった新技術への対応を急いでいる。SAPは既存製品を核にミドルウエアの拡充などを通じて実現、オラクルは6年かけて開発した新製品を投入した。

 急速に変わる経営環境や技術に追随しようと、ERPパッケージの2強である独SAPと米オラクルが、製品強化を急いでいる。

 ERPを中核にCRM(顧客関係管理)やSCM(サプライチェーン管理)などの機能を提供する統合業務アプリケーションは、登場から数十年がたち成熟したかに見えた。ところが、グローバル化や超円高など経営環境が大きく変化。クラウドやスマートフォンの普及など、技術分野の変化も大きい。こうした変化に追随しようと両社とも、業務処理機能の拡充、最新モバイル端末への対応、そしてクラウドサービスの提供の三つを主な製品強化の方向として掲げる。ただし、両社のアプローチは全く異なる(図1)。

図1●SAPとオラクルの製品開発の方向性
図1●SAPとオラクルの製品開発の方向性
目指す方向性は同じだが、方法が異なる

 オラクルは“新製品一括提供型”の戦略を採る。2011年10月に発売した新製品「Oracle Fusion Applications 11g」で、最新の業務処理支援機能や技術を一気に実装。日本では12年第1四半期に発売予定だ()。

表●SAPとオラクルの代表的なERPの概要
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 対してSAPは“既存製品拡張型”で機能強化を図る。09年に出荷済みの「SAP Business Suite 7」を中核に、それと連携して動作するミドルウエアやサービスを拡充している。インメモリーデータベースの「SAP HANA」や、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)機能をSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)で提供する「SAP StreamWork」が代表例だ。

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