東日本大震災の後、一気に注目が集まったクラウド型ファイルサーバー・バックアップ・ソリューション。BCP(事業継続計画)強化の一環として検討を進める企業が増えている。バックアップを実行するエージェントなどの違いにより、サービスにはいくつかタイプがある。中には、バックアップ先のクラウドをユーザーが選択できるものもある。自社の要件に合ったものをじっくりと見極めたい。

 東日本大震災から1年が経過した。多くの企業のシステム担当者は、改めて災害の恐さを噛み締め、システムやネットワークの面からのBCP強化を含めてICT戦略見直しを進めている。

 その際に有効なソリューションの一つになるのが、クラウドサービスへのデータバックアップである。クラウドにデータをバックアップしておけば、広域災害でもデータを守れる可能性が高まる。こうしたことから、多くの企業がクラウドへのバックアップに注目。東日本大震災以降、ベンダーへの引き合いは急増し、今もなお増えているという。

ツールを使いクラウドに自動転送

 データをバックアップする場合、まずはバックアップを実行するエージェントが必要になる。エージェントが定期的にバックアップ対象のデータをチェックし、バックアップ済みのデータとの差分を取り出して、転送する。

 こうした仕組み自体は、ローカルでのバックアップでも、クラウドなどリモートへのバックアップでも変わらない。ただサービスの場合は、基本的にサービス提供者(あるいは販売元)が指定するツールを使い、指定するクラウドサービスあるいはデータセンターにバックアップデータを保存するようになっている(図1)。

図1●サービスによって異なるバックアップ先
サービス提供者が運営するデータセンターを使うもの、パブリッククラウドを使うものがある。サービスによってはバックアップ先のパブリッククラウドを選択できる。
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 クラウド型のバックアップサービスは大別すると、(1)バックアップ用ソフトウエア(エージェント)を使うタイプ、(2)NAS(Network Attached Storage)などのアプライアンスを使うタイプ、(3)ユーザー側にはエージェントを置かないエージェントレスの3タイプがある(図2)。

図2●バックアップの実現方法は大別して4種類
タイプによって導入の手間や導入コストに違いがある。バックアップ用ソフトの稼働環境や、バックアップ先のクラウドサービスの違いなども選択基準になる。
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