ストレージの技術が大きく変化している。仮想化技術やクラウドコンピューティングの活用が本格的になり、ストレージを柔軟かつ効率的に利用したいというニーズが高まっているためだ。ファイバーチャネルやイーサネットでサーバーに接続するネットワークストレージの最新技術動向を紹介する。
仮想化がストレージ技術の変化を促している例としては、デスクトップ仮想化の「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」の普及が挙げられる。VDIでは、クライアントOSを仮想サーバーで起動し、端末がそれを遠隔的に操作する。端末は就業開始時刻などに集中的に仮想サーバーへアクセスするため、同サーバーのストレージには高い性能が求められる。
またクラウド環境では、利用者が急拡大してストレージの容量と性能を同時に上げる必要に迫られることが多い。これもストレージ技術の変化を促す大きな要因になっている。
図1に最近のネットワークストレージが備える特徴を示す。性能向上に関する技術と、運用性向上に関する技術がある(主な製品は表1)。
性能向上ではSSD(Solid State Drive)を活用するものが目立つ。SSDはフラッシュメモリーを使っている。ハードディスク装置(HDD)に比べると高速にアクセスできるが、容量当たりの単価が高いという課題があった。
そこで最近のネットワークストレージでは、少ない容量のSSDを効率的に利用して性能を上げる技術が進歩している。「ストレージ自動階層化」と「SSDによるキャッシュメモリーの拡張」がある。
複数の筐体を連結し、容量と性能を向上させる技術を採用した「スケールアウトNAS(Network Attached Storage)」というジャンルの製品も増えている。小規模なシステムでサービスを開始し、利用者の増加に合わせて順次拡張していくことができる。
運用性向上では、「ユニファイドストレージ」による統合管理技術と、「シンプロビジョニング」といった容量の仮想化技術が注目できる。