スマートフォンを社内ネットワークに接続して、業務に利用するケースが増えている。会社が業務用にスマートフォンを社員に配布することもあれば、個人所有の端末を業務に使うケースもある。

 スマートフォンが社内ネットワークにつながるようになると、会社支給、個人所有にかかわらず、しかるべき部門が管理する必要が出てくる。スマートフォンを経由した機密情報の漏洩や不正アクセスを防いだり、ソフトの不正コピーを監視したりする必要があるからだ。

モバイル管理のMDMが登場

 こうした背景から、最近はMDMと呼ばれる、スマートフォンに特化した管理ソフトが次々と登場してきた。IT資産管理ソフトと同じように、「インベントリー収集」や「ウイルス対策ソフトの監視」、「ソフトの実行制御」といった機能を提供する。このほかスマートフォンに特化した機能として、情報漏洩を防ぐために、遠隔地からスマートフォンの保存データを消し工場出荷時の初期状態に戻す「リモートワイプ」が用意されている。

 ただし、IT資産管理ソフトとMDMを別々に導入してしまうと、管理者は両方の面倒をみる必要がある。この手間を軽減するために、多くのIT資産管理ソフトがスマートフォンに対応し、リモートワイプといった機能を追加する動きがある。一部のソフトは既に機能を提供している。また、クライアントパソコンと違って、エージェントを使わずにサービスを提供する製品もある。仕組みを見てみよう。

エージェントタイプはこれから増殖

図6●エージェントタイプとエージェントレスタイプの違い
スマートフォン対応のIT資産管理ソフトには、エージェントを使わなくても管理できる製品がある。このタイプでは、ほとんどがExchange ActiveSyncクライアント機能を利用する。
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 スマートフォン対応のIT資産管理ソフトは、エージェントを使って管理するエージェントタイプとエージェントを使わず管理するエージェントレスタイプに分かれる(図6)。

 エージェントタイプは、IT資産管理ソフトがエージェントを使ってクライアントパソコンを管理する仕組みとほとんど変わらない。エージェントが広い範囲の情報を収集できるので、エージェントレスタイプに比べると、機能が多い。

 IT資産管理ソフトでは、スカイの「SKYSEA Client View」とクオリティのクラウド版「ISM CloudOne」で、Android OS向けのエージェントが2011年7月から提供されている。リモートワイプのほか、ソフトの実行制御などの機能を備える。

 このほかのベンダーでは、2011年秋から年末にかけて、Android OSやiOS向けのエージェントを用意するところが多い。エージェントタイプは、ベンダーがそれぞれスマートフォンのOSやそのバージョンに合わせて個別に開発する必要があり、リリースに時間がかかっているというのが現状だ。

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