IaaSは、効果的な領域で活用してこそ価値がある。IaaS導入を行っている企業はどのような領域で利用しているのか。またどのような効果を得ているのか---。連載最終回となる今回は、IaaS導入事例を紹介しながら、IaaSの適用領域、活用パターンを整理しよう。

IaaS適用領域の分類

 クラウドが登場した当初、国内ではセキュリティ面の不安意識が高く、企業での利用は限定的だった。特にIaaSの場合、最初からパブリッククラウドを活用するケースは少なく、自社もしくはホスティング形式でプライベートクラウドを構築するケースが多かった。

 しかし、最近は企業のクラウドに対する理解も進み、業務・システム特性とIaaS特性を考慮して、ビジネス最前線でIaaSを積極的に活用する企業が増えている(図1)。

図1●業務・システム特性とクラウド特性を考慮してIaaS導入を検討
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■アプリケーション開発・テストインフラ

 IaaS活用における最も一般化している領域として、プロトタイプやアプリケーション開発およびテスト用のインフラとして活用するケースがある。短時間で必要な環境を調達・構築でき、サーバーの維持管理運用も不要で、開発が完了したらいつでも利用停止でき保有しなくてもよいIaaS活用は、開発者や運用者だけでなく経営にとってもメリットは大きい。

 IBMが提供する「IBM Smart Business Cloud-Enterprise(SBCE)」では、同社の開発ツール「Rational」を提供しており、1時間単位で利用可能となっている。開発者はサーバーリソースだけでなくツールも利用可能となっている。開発環境としてIaaSを活用する場合、チームやプロジェクト単位ではなく、企業内で、開発ツール、テストツールの整備や開発環境の構成のパターン化、標準化を進めていけば、より一層開発生産性や品質の高度化が期待でき、企業内におけるIT統制を図ることも不可能ではない。

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