福島第一原発の事故などによって、電力会社の供給できる電力量が減少したことで、企業は大幅な節電を余儀なくされた。そこで注目されたのが、パソコン(PC)の消費電力を一元管理できるツール。PCは全社で見れば数百~数万台に上るため、節電効果は大きい。製品は多岐にわたるが、消費電力の制御ルールなどの違いで大きく3タイプに分かれる。
東日本大震災以降、どの企業もオフィスの節電に取り組んでいる。対象は照明、空調など様々。各従業員の机の上にあるパソコン(PC)も、有力な節電対象の一つである。そこで、オフィス内にあるPCの消費電力を管理・制御できるソリューションに注目が集まっている。
一例が「ピークシフト設定」機能を搭載したPC。ここで言うピークシフトは、電力需要の増える昼間の時間帯には充電を抑制しながらバッテリー駆動でPCを動作させ、電力需要の少ない夜間にバッテリーを充電するという制御である。ほかにも、IT資産管理ツール、構成管理ツールなど様々な製品に、PCの消費電力管理機能を備えたものがある(図1)。
最近は、ユーザーの利便性を損なうことなく、より高度な制御ができるPC消費電力管理ツールがそろってきている。企業で使用されているPCの電源プロファイルを一括してコントロールすることで、消費電力とCO2排出量を減らすことができる。
機能別に3種類に分けられる
PC消費電力管理ツールは、機能別に見て大きく3種類に分けられる(表1)。(1)ネットワークに接続した管理対象のクライアントPCに対し、管理者がリモートから電源オン/オフを操作できる製品、(2)クライアントPCに対して統一の省電力ポリシーを適用すると同時に、動作状況を監視・レポートする機能を備えた製品、(3)それらに加え、PCユーザーの行動パターンを学習して自動的に電源制御する仕組みを備えている製品──である。(2)と(3)には、PC1台ずつの電力消費量を可視化できるものが多い。
なお、表1で取り上げた製品はすべて、専用のエージェントソフトをクライアントPCにインストールし、管理サーバーを用意する構成となっている。