この連載では、市場で話題の製品・サービスとその主要ベンダーを取り上げて、「ユーザー企業は、ベンダーとチャネルをどう見極めるべきか?」という観点から解説している。

 今回はラックマウントサーバーと、そのトップベンダーである日本ヒューレット・パッカード(日本HP)を取り上げる。PCサーバー(x86サーバー)は企業のITインフラの基盤を支えているサーバーの中でも、コモディティ化している。そのPCサーバーの年間出荷台数のうち半数以上を占めるのが、ラックマウントサーバー(以下、ラックサーバー)である。

 なぜラックサーバーがPCサーバーの中心となっているのか。さらに、日本HPのラックサーバーでの強みと、ユーザーになぜ支持されているかを述べることにしよう。

上位3社がしのぎを削る国内PCサーバー市場

 ラックサーバーには、「小型で集約性に優れている」「サービスメンテナンスが容易」「コンパクトでありながら高機能」といったメリットがある。「タワーサーバーに比べると高価格である」「小型ファンによる騒音」などのデメリットもあるが、飛躍的に増大する情報処理量に対応するために、いわゆるスケールアウト的に拡大するコンピュータとしてはラックサーバーが選択されている。

 ラックサーバーの形状はU=ユニットの単位で表記される。「1U」は高さ44.45mmに相当し、標準的な幅19インチのラックに収納するラックサーバーが占める高さを表す単位として用いられる。このサイズのサーバーが一基のラック装置(約2m)に最大40U強、格納できる。サーバーを追加したい場合は、ラック装置を増設すれば良い。

 ラックサーバーには、重量、消費電力、機種スペックによるバリエーションなどで、ホスティングから仮想化まで、幅広い需要に即座に対応することが求められる。特にデータセンター、大企業のサーバールーム、Web系サービス事業者といった大口の案件では、ソリューションの細かい要件よりも、指定されたスペックのラックサーバーを、短納期かつ極力価格を抑えて提案することが、ベンダーにとって重要な要件となる。

 日本国内のPCサーバー市場は、NEC、日本HP、富士通が上位グループを形成しており、年間出荷台数10万台を超えるこれら上位3社による激しいシェア争いとなっている。2010年度(11年3月時点)の出荷台数シェアは、NECが25.3%、日本HPが22.3%、富士通が20.0%、デルが13.2%、日本IBMが9.1%、そして日立製作所が4.9%である。

 形状別の構成比推移で、ラックサーバーがタワーサーバーを逆転したのが2007年度であり、年間のサーバー出荷台数が最も多かったのも2007年度だ。2010年度の出荷台数はラックサーバーが27万2849台でサーバー全体の53.4%を占めている(図1、図2)。ラックサーバーを制することが、PCサーバー市場で優位に立つ条件であることは間違いない。

図1●PCサーバーの形状別構成比(出荷台数ベース)
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図2●PCサーバーの形状別出荷台数推移
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