2012年が明けて早1カ月余り。既にICT関連のニュースも動き始めている。ここで昨年の出来事を振り返ってみると、今年、ICT業界では何が起こりそうか、また自社の通信環境の課題が何かを考える材料にもなるだろう。今回は2011年を通じて重大だと感じたICT関連ニュースは何かを尋ねた。

 調査方法は、昨年1年間のニュースとして編集部が選んだ合計26項目の中から、回答者に重要だと思ったニュースを五つ選んでもらう方式。選んだものに、1位(5ポイント)から5位(1ポイント)まで順位を付けてもらい、このポイントの合計値に基づいて、重大ニュースをランキングした。

ジョブズ氏死去は2位、3位票が集中

 集計の結果、1位を争ったのは、「米アップルの元CEO、スティーブ・ジョブズ氏の死去」(394ポイント)と、「東日本大震災による通信インフラのダメージ」(390ポイント)の二つのトピックだった。どちらも、一般的な重大ニュースのランキングでもトップ10入りする大きなニュースである。

Q1. 2011年で、重大と思ったニュースを選んでください(順位を付けて上位五つ)
算出方法:編集部が選んだ26個のニュースから、1位から5位までを選んでもらい、順に5~1ポイントずつ配分した合計値を計算し、総合順位を決めた。
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ランキングの続き(11~20位)
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 集計上は4ポイントの僅差でジョブズ氏のニュースが上回ったが、実質的にこの二つは同率首位と言える。ただ、選ばれ方には違いが見られた。

 二つのニュースの得票の中身を比較すると、1位に推された投票数では震災が63票、ジョブズ氏が42票と、震災の方が上回っていた。また、2位から5位までを合わせた総得票数で見ると、震災が86票に対して、ジョブズ氏が105票とより多くの票を集め、結果的に4ポイントの差がついた。震災に投票した人は、7割以上が1位に推しているが、ジョブズ氏のニュースは、2位や3位でも幅広く票を集めた。

 ジョブズ氏の死去について寄せられた自由意見を見ると、「現在のICTの利用環境、また世の中の人々のライフスタイルに与えた影響は極めて大きい。一つの時代が終わった感が強い」と、故人の死を惜しむ声が多く見られた。KDDIによるiPhone 4Sの発売開始、iPad 2の発売といったニュースと絡めて、「Androidの台頭も著しかったが、話題は米アップルが牽引していた。ジョブズ氏の功績の偉大さを改めて感じる」とする声もあった。

 2位の東日本大震災に関しては、回答者自身の業務にも大きな影響があったことが、1位票を多く集めた背景にありそうだ。

 例えば自由回答を見ると、「震災からいまだに完全復旧していない拠点が残っている。ネットワークとシステム全体のBCP(事業継続計画)を改めて見直すことになった」「地震そのものよりも、その後生じた電力危機のほうが現実的な問題として対処に苦労した。通信環境、情報システムが電力に依存していることを改めて認識させられた」といったコメントが見られる。このように、個別の体験として通信インフラに影響が出たことが、票につながった様子がうかがえる。

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