ネットワーク仮想化では、物理ネットワークの上に重ねる形で論理的なネットワークを作る。とはいえ、発展段階にある現状では課題も残っている。

機能不足はネットワーク運用に影響

 課題の一つはハイパーバイザー上で動作する仮想アプライアンスにある。仮想化したネットワークでは、ネットワーク機器の機能を仮想アプライアンスとして実現するケースがある。代表的なのが仮想スイッチである。

 ただ、仮想アプライアンスは物理ネットワーク装置に比べると、機能的に劣る場合がある。例えば現在のHyper-Vで使われている仮想スイッチでは、VLAN ID数が実際の物理スイッチに比べてずっと少ない。

 こうした仮想アプライアンスを多用すると、仮想化ネットワークの運用で大きな負担を強いられかねない。実際にデータセンター事業者などでは、仮想スイッチの機能制限のためにネットワーク構成管理やVLAN管理が複雑になり、運用コストが高まる例が出てきている。Open vSwitchなど高機能化されてきているものもあるが、それでも、実際に物理スイッチをそのまま置き換えてよいのかどうかとなると、念入りな技術検証なしには判断できない。

 もう一つの課題は、ソフトウエア処理による部分とハードウエアを合わせた仮想ネットワーク全体での管理・監視である。仮想ネットワークではレイヤー2ネットワークを作るためにトンネリング技術を多用する。こうしたトンネルの構成も管理しなければならない。そのトンネリング技術には複数の仕様があるうえ、VXLANなど新しい仕様も登場している。これらを含めてネットワーク構成とパフォーマンスを管理・監視する必要がある。もちろん、仮想マシン、物理サーバー、ストレージまで含めた横断的な管理・監視だ(図12)。

図12●仮想化・クラウドシステムを構成する三つの基本要素の監視・管理対象
図12●仮想化・クラウドシステムを構成する三つの基本要素の監視・管理対象

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