2010年から現在に至るまで、いくつかのスイッチベンダーからファブリックスイッチというタイプのネットワークスイッチが提供されている。これもネットワーク仮想化を実現するための仕組みで、柔軟なハイブリッドクラウド構成や、データセンターの運用負荷軽減といったニーズに応えるものといえる。
ファブリックはリソースを束ねたネットワーク
ブロケードはファブリックを、スケールアウト構成を取ることができる複数台のスイッチで構成した自律的なネットワークシステムと考えている。そもそもファブリックスイッチはデータセンターそれ自体がコンピュータだという発想から来ている。ストレージや物理サーバーを一つにまとめ、それらのコンピューティングリソースから必要な量を取り出して動的に割り当てるための基盤が、ファブリックになる。
それを象徴するのが、ブロケードでは「バーチャル・クラスタ・スイッチング」(VCS)と呼ぶ、複数きょう体のスイッチを1台として扱う技術である(表2)。バーチャルシャーシなどとも呼ばれ、スイッチのスケールアウトが可能になる。
ブロケード製品の場合で言えば、各きょう体に「Distributed Configuration Management」(DCM)モジュールが搭載され、これがきょう体間で設定情報やポートプロファイルを同期させる。これにより、運用を自動化できる。サーバーの追加・削除などが発生した場合には、自動的にポートプロファイルを書き換え、自律的にネットワークを再構成するという具合である。動作そのものは異なるが、OpenFlowと同じ目的を達成できる。これはブロケード独自の考え方というわけではない。米ガートナーが発表した2011年のトップ10戦略技術の中にも“Fabric-Based Infrastructure and Computers”という概念が挙げられている。
このようにCPUやメモリー、ストレージなどのリソースを結合するファブリック技術を使えば、ハイブリッドクラウドを構成できる。