2011年10月17~19日、米国スタンフォード大学に、アリスタネットワークス、エリクソン、シスコ、ジュニパーネットワークスといった世界の名だたるネットワーク機器メーカーと、スタンフォード大学をはじめとする大学に在籍するネットワーク系の研究者、そしてニシラネットワークスなどのベンチャー企業が集った(写真1)。スピーカーのリストには、グーグル、フェイスブック、ベライゾン、マイクロソフト、ヤフーといった名前もある。
イベントの告知が始まってからあっという間に参加登録者が増え、9月1日には早々に登録を締め切らざるを得なくなった。それほどネットワーク技術者たちから注目を集めたこのイベント。名称は「Open Networking Summit」(ONS)。そのテーマが、「Software Defined Network」(SDN)である。当初200人程度の参加を想定していたところ、800人以上が参加を希望。結局は、カンファレンスとチュートリアル合計で450人ほどが参加する結果となった。
ONSだけではない。その直前に米国フィラデルフィアで開催されたNANOG(North American Network Operators Group)のミーティングでも、SDNが大きく扱われた。日本国内でも、小規模な勉強会などの話題をあちらこちらで耳にする。SDNは今、ネットワーク業界で最もホットなテーマといっていいだろう。
要するにネットワークの仮想化
SDNというのは、ネットワークの構成/トポロジーや設定を、すべてソフトウエア的なアプローチだけで変えられるネットワーク。要するに、「ネットワーク仮想化」である。既存の物理的なネットワークの上に論理的に重ねて作るオーバーレイ型の仮想ネットワークなら、機器のアクティベートから設定、制御までをコマンド操作だけで実現できる。サーバー仮想化と同様に、ネットワークが物理的にどう構成されているかはもはや関係ない。
そして、こうした制御を実現するための技術として、OpenFlowが注目されている。実は冒頭のONSというイベントのテーマはSDN/OpenFlowとなっている。OpenFlowは、スイッチから経路制御機能を独立させるための技術。「コントローラー」で配下のスイッチの経路制御を集中的に実行する。変更があっても個々のスイッチの設定を一つずつ変える必要はない。
ネットワーク仮想化は、OpenFlowを使わずに実現するアプローチもある。例えばLANスイッチメーカーがそろって取り組んでいる「イーサネットファブリック」(またはファブリックスイッチ)では、複数のスイッチで構成するネットワーク全体を、あたかも1台のネットワーク機器のように制御できる。
重要なのはOpenFlowという技術ではない。SDNあるいはネットワーク仮想化というコンセプトそのものに、業界が湧いていることだ(図1)。