ネットワーク経由で会社のパソコンやデータセンターの仮想デスクトップ環境を遠隔利用する――。いわゆる「リモートデスクトップ」が、あらためて注目を集めている。シンクライアント端末をはじめ、スマートフォンやタブレット端末からも各社が販売しているシンクライアント用ソフトを利用すれば、あたかも手元でWindowsなどが動いているかのように画面を操作できる(図1)。

図1●ドイツTeamViewerのリモートデスクトップアプリ「TeamViewer」を使ってiPadからWindowsを利用しているところ
図1●iPadからWindowsを利用しているところ
ドイツTeamViewerのリモートデスクトップアプリ「TeamViewer」を使用

リモートデスクトップが注目される理由

 ここへきてリモートデスクトップに注目が集まっている理由は、大きく二つある。一つは「自由に楽しく働きたい」という欲求が高まり、ワークスタイルが多様化していること。もう一つは、地震などの自然災害や感染症の流行などへの対策として、企業がBCP(事業継続計画)に取り組む必要に迫られていることである。

 私たちを取り巻くIT環境は、「いつでも、どこでも、どんなデバイスからでも、仕事ができる」ことを許容するように変化してきた。最も分かりやすい例が、在宅勤務である。自宅のパソコンから会社のパソコンを遠隔利用できれば、出勤しなくても済む。また、外出先から会社の机にいるのと同じ業務をこなすことができる。

 iPhoneやiPad、Android端末など、Windows以外のデバイスが流行していることも、リモートデスクトップが注目される理由の一つだ。こうしたデバイスでWinodwsを動かすことはできないが、リモートデスクトップの仕組みを使えばシンクライアント端末として会社や自宅のWindowsパソコンを遠隔利用することができる。つまり、iPhoneやiPad、Android端末、MacBook Airなど、好みのデバイスで仕事ができる。

 こうした需要は大きい。Windowsでなければ動かない業務ソフトや、Internet Explorerでなければ正常に機能しないWebアプリケーションが多いからだ。取引先との文書のやり取りに欠かせないMicrosoft OfficeもWindowsでなければ動かない。

 リモートデスクトップが注目されるもう一つの理由はBCPである。社員が会社に出勤できない危機的な状況を想定し、出勤しなくても業務を継続できる環境を整えておく、ということだ。リモートデスクトップ環境を構築しておけば、有事の際に社外から会社のWindowsパソコンやデータセンターの仮想デスクトップを利用できる。このように、在宅勤務にはライフスタイルの変化という側面のほかに、BCPの側面もある。

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