東日本大震災は、緊急時の連絡手段確保の難しさを改めて強く印象付けた。そんな中にあって、地震発生後の情報伝達ツールとして活躍したのが、インターネットでつながるサービス。SaaS(Software as a Service)型のWeb会議もその一つだ。
「東日本大震災の後、全国の多くの企業から問い合わせを受け続けている」――。SaaS型でWeb会議サービスを提供する事業者は、こう口をそろえる。Web会議は、簡単に言うとWebブラウザーから利用できる電子会議システム。音声(電話会議)や映像(テレビ会議)のほか、会議参加者同士でデータやアプリケーションを共有できる点が特徴だ。
SaaS型のWeb会議は、ブラウザーが動作する端末とインターネット接続環境があればどこからでも、これらの機能を利用できる(図1)。従来のテレビ会議システムなどのように場所を取らないし、初期投資も少なくて済む。申し込めばすぐに使え、短期間で利用を停止することもできる。
こうした手軽さから、多くの企業ユーザーがSaaS型Web会議に注目しているわけだ。特に災害時などには威力を発揮する。
ただ、復旧が進み始めた今になっても、多くの企業がWeb会議に興味を抱いている。目下の最大の理由は、震災から波及した電力危機を前にした停電・節電対策。オフィスが停電した場合や、節電のために在宅勤務を実施する場合などに、コミュニケーション手段を確保するためである。
資料共有でも、できることに違い
一口にWeb会議サービスと言っても、サービスは数多い。スペックを細かく見ていくと、それぞれ性能や機能、対応端末などの点で違いがある(表1)。
音声/テレビ会議は、ほぼどのサービスでも利用できる。ただ、符号化方式など、音質や品質にかかわる仕様はサービスによって少しずつ違う。