ストレージ選びの現場を混乱させている問題の一つが、「ハイエンド」という言葉だ。「ハイエンド」はあいまいな言葉であり、明確な定義はない。ユーザーによっても、ベンダーによっても、人によっても、イメージが異なる。現在では「ミッドレンジ」に位置付けられるストレージが、登場時には「ハイエンド」と宣伝されていたケースもある。
ハイエンドやミッドレンジといった言葉を、「ストレージの性能を区別する言葉」としてとらえようとする見方もある。ところが、これに当てはまらない例は多い。例えば以前、FPGA(Field Programmable Gate Array)を使ったハードウエア処理で高速化を図った数十万円のSCSIストレージがあったが、この製品は、当時大手ベンダーが数百万円で販売していたミッドレンジ機よりも性能は高かった。
重要なことは、「何についてのハイエンドなのか」を理解することだ。「性能と拡張性」についてなのか、「機能性」についてなのか、あるいは「可用性や信頼性」についてのハイエンドなのか---。常に、この観点で判断することを忘れてはならない。ある製品が「ハイエンド」を自称していた場合は、何についてのハイエンドなのかをベンダーに聞くようにする。その上で、自社が求めている要素とマッチングさせればよい。