クラウドコンピューティングを導入する企業が増えている。中でもニーズが高いのが「クラウド型メール」。自前で構築するのに比べ、導入コストがかからず、運用コストも削減できる点に注目が集まっている。単純なメールサービスにとどまらず、ユニファイドコミュニケーションの入り口として活用されるものもある。
オフィスだけでなく、外出先でもメールを使いたい──。営業系のビジネスパーソンを中心にこうした要望が増えている。こうした企業ユーザーのニーズに応えるのが、法人向けクラウド型メールサービスだ(表1)。クラウドサービス事業者や通信事業者、インターネット接続事業者(ISP)などが提供している。東日本大震災から後は、事業継続を意図した採用企業が増加傾向にあるという。
ただし一括りにクラウド型メールと言っても、メール保存容量や各種機能の有無、そして料金に、案外大きな違いがある。操作画面に、ユーザーの使い勝手を妨げない工夫を施すなど、日本人が作った“かゆいところ”まで配慮したサービスもある。
クラウドで運用が手軽になるとはいえ、いったん移行すれば、日々のメールが蓄積されていくため、その後のサービスの乗り換えは必ずしも容易ではない。それぞれのサービスの特徴を踏まえたうえで、長期的に使い続けることを想定し、重視するポイントとその優先度を考えて選ぶ必要がある。