データセンター部門では、各社の主力データセンターについて、スペックやサービス内容を聞いた。クラウドを支える上で十分な設備かどうかを確認するためだ。
規模はNTTグループが突出
ベストサービスを獲得したのは、NTTコミュニケーションズ、インターネットイニシアティブ(IIJ)、富士通の3社。日立製作所、日本ユニシス、NECなどの大手ベンダーも高評価を得た(表4)。
高評価のデータセンターに共通するのは、「ネットワーク」の充実ぶりだ。データセンターを利用する企業はNTTグループやKDDIなど主要な通信事業者の通信回線を、外部との接続に使える。
例えば、NTTコミュニケーションズのデータセンターにKDDIの回線をつなぐことができる。ファイアウォールや不正侵入検知、ウイルス対策など、外部との接続に不可欠なセキュリティ機能も、データセンター側で用意する。
ベストサービスの3社は、今後ニーズが高まるとみられるIPv6にも対応済みである。利用企業は、IPv6のネットワークをデータセンターと接続して使える。
各社はそれぞれ強みを生かしている。NTTコミュニケーションズは、「規模」でNTTデータと並ぶ最も高い得点を得た。この項目では、国内外におけるデータセンターの数や、拠点の場所、総延べ床面積などを尋ねた。NTTコミュニケーションズは自社センターのほかに、グループ会社が所有する局舎のスペースなども利用している。これが高得点につながった。
「建物性能」で高い評価を得たのは富士通だ。同社の「館林システムセンター」は、点数が最も高かった。震度7以上の耐震性を備えるほか、1平方メートル当たりの床荷重が1トン以上、床下高が800ミリメートル超であることなどが、得点を押し上げた。
IIJのデータセンターも建物性能で高い評価を得ている。IIJはどの項目においても、まんべんなく高得点を獲得し、前回同様、ベストサービスとなった。
特に評価が高かったのは、「料金」だ。この項目では料金の安さではなく、料金体系の分かりやすさを評価した。IIJは初期費用や最小構成時の料金などを明確にしている。データセンターは従来、料金非公開、個別見積もりといったケースが多かったが、透明度は徐々に高まりつつあるようだ。