クラウド基盤サービス部門
実績とサービス強化で大手躍進
「ベストサービス」は、クラウドコンピューティングの考え方に基づき、企業が利用しやすい特徴を備えたサービスとそれを提供するベンダーから選んだ。2011年7月末時点で各社が提供しているサービスを対象に選定した。
クラウドを構築するための基盤となるIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)などの「クラウド基盤サービス」部門で、ベストサービスとなったのは8社。NTTコミュニケーションズ、アマゾン・データ・サービス(旧アマゾン・ウェブ・サービシズ)、富士通、ニフティ、日本マイクロソフト、日本IBM、日本ユニシス、CSK(10月1日付で住商情報システムと合併予定)である(表1)。
NTTコムとアマゾンが高評価
中でもNTTコミュニケーションズとアマゾンは高い評価を得た。NTTコミュニケーションズはサービスで利用できる「ソフトリソース」で高スコアを獲得した。サービスで使えるOSやアプリケーションサーバーの種類の豊富さを評価する項目である。
同社の「Bizホスティング」は「VMware」や「Xen」といった主要な仮想化ソフトウエアに対応する。データベース管理ソフトや開発言語についても、幅広く対応できるようにしている。
NTTコミュニケーションズは「セキュリティ」の得点も高かった。外部機関によるセキュリティ監査を受けていたり、ファイアウォールを標準で提供していたりする点が評価された。
同社はこれまで、大手向けに「Bizホスティング エンタープライズ」、中堅・中小企業向けに「同ベーシック」と、二つの異なる層に向けてサービスを提供・強化してきた。この点も高い評価を得た理由の一つである。今年に入って、ベーシック向けにオンラインサインアップ用サイトの提供や、マイクロソフトのリレーショナルデータベース(RDB)管理ソフト「SQL Server」への対応を開始。3月にはエンタープライズとベーシック向けに、管理ポータルでクラウド上にあるサーバーの構成を変更できるようにするなど、サービスの強化を続けている。
さらに現在は、これら二つのサービスを「Bizホスティング」として統合し、どちらのニーズにも対応できるサービスとして提供している。
アマゾンは利用開始時の利便性をはじめとする「契約」で高得点を得た。同社の「Amazon Web Services」は、申し込んだその日のうちに利用できる。
こうした「必要な時にすぐにコンピューティングリソースを使える」仕組みを備えているのは、今回の調査で回答があった56サービスの25%に当たる14サービスで、まだ多いとはいえない。アマゾンのほかにニフティ、日本マイクロソフト、インターネットイニシアティブなどが提供している。最も多かった回答は「1週間以内」で、19サービスだった。