2011年現在、企業情報システムの運用管理の世界では、大きな変化が起こっている。日々の運用作業から複数のシステムや部門をまたぐ運用プロセス、そしてリソースなどの制御を自動実行すること、すなわち「運用の自動化」が、急速に浸透しているのだ。IT部門は、こういった運用全体にわたった自動化に取り組まなければならない時期に来ていると言える。待ったなしだ。
実際、欧米では、運用を自動化する動きが顕著である。例えば、あるインシデント(案件、問題)の発生から、変更管理やリリース管理、さらには構成管理のプロセスを一連の流れとして自動実行することなどが挙げられる。
一方、日本のユーザー企業の間では、残念ながら、まだ部分的な自動化しか進んでいない。自動化という言葉が、都合よく局所的にしか使われていないのが実情だ。時として、ベンダー製品の一機能のみを指して、すべてを語っているようなケースも見られる。
本来、自動化とは、運用プロセス全体を通じて、判断や作業(手順)を人手を介さずに実行することを指す。ガートナーでは4年ほど前から、より高度で統合的な自動化テクノロジを「RBA」(Run Book Automation)と呼び、提唱してきた。2011年からは、テクノロジと導入現状を、より適切に表すために「IT Process Automation」(ITプロセス自動化)と呼んでいる。
「ITプロセス自動化」が対象とする範囲は、個々のジョブやタスクレベルの個別の自動実行にとどまらない。複数のプロセスをオーケストレーションさせ、これをサーバー、ストレージ、ネットワークなどの領域を超えて、さらにはチームをまたいでエンドツーエンドで一貫して実行することを指しているのである。