無線LAN製品は,LANケーブルを使わずに無線で通信する機能を備えた製品のこと。大きく,無線LANと有線のLANを橋渡しする「無線LANアクセス・ポイント」と,端末側で利用する「無線LANアダプタ」の二つで構成する。ただし最近は,ノート・パソコンやモバイル端末など端末側に無線LANアダプタを内蔵するケースが増えている。このほか,無線LAN全体を一元管理するのに使う「無線LANスイッチ」(または「無線LANコントローラ」)がある。
高速,多機能,省エネがトレンド
無線LANアクセス・ポイントは,パソコンや無線LANアダプタ搭載の電話機といった無線LANクライアント(子機)が接続する相手(親機)となる機器だ(図1)。無線LANのフレーム形式を有線のLAN(イーサネット)のフレーム形式に変換する役割を果たす。
最近の無線LANアクセス・ポイントは,機能面でいくつかの変化がみられる。大きなポイントは,(1)IEEE802.11nへの対応,(2)多機能化,(3)省エネ機能の搭載,(4)大規模システムへの対応---の4点だ。
(1)のIEEE802.11nは,最大300Mビット/秒を実現する無線LAN規格である。2009年9月に標準化が完了した。
(2)の多機能化では,電波の送信出力を規制値の上限まで出すように調整した製品や,USBメモリーやUSB端子を持つ外付けハードディスクなどを接続してNAS(network attached storage)として使えるようにした製品などが登場している。また,無線LAN以外の無線方式を搭載し,状況に応じて最適な方式を選択するというコグニティブ無線に対応したものも出てきた。
(3)の省エネ対応では,待機状態のときには無線LANの機能を停止し,LEDランプを消しておくといった機能がある。また,アクセス・ポイントが備えるLANスイッチ機能において,使用していないポートには給電しない,LANケーブルの長さに応じて出力を変えるといったしくみを持つ製品もある。
(4)の大規模システムへの対応は,冒頭で言及した無線LANスイッチ(無線LANコントローラ)で実現する。無線LANスイッチは,無線LANアクセス・ポイントの状態を管理して,効率的に通信できるようにさまざまな制御をする機器のこと(図2)。企業などで無線LANアクセス・ポイントを多数設置する場合に利用される。無線LANアクセス・ポイントと無線LANスイッチの間のやり取りは標準化されていないので,同じベンダーのものを採用する必要がある。