クラウドサービスを賢く利用するためのキーワードは「トレードオフ」である。日経コンピュータと日経BPコンサルティングが実施したクラウドサービスの利用実態調査から分かったことだ。

 クラウドサービスの利用に関して、『コストを削減するためなら、システムの稼働率が下がるのは仕方がない』『システムを素早く利用開始するためには、機能は最小限に絞り込む』といったように、何かを優先するために別の何かを妥協したほうがよいと思うかどうか。これをユーザー企業のCIO(最高情報責任者)やシステム部長など、情報化戦略の意思決定者に聞いたところ、「思う」と「やや思う」を合わせた回答が半数を超えた(図1)。

図1●クラウドサービスの利用に関して「割り切り」が必要と思うか
図1●クラウドサービスの利用に関して「割り切り」が必要と思うか

クラウド利用企業の8割がトレードオフ思考

 クラウドサービスを利用している会社と利用していない会社とでは、割り切りの必要性に対する認識度合いが大きく異なる(図2)。

図2●クラウドサービスの利用状況の違いによる、「割り切り」の必要性に対する認識度合い
図2●クラウドサービスの利用状況の違いによる、「割り切り」の必要性に対する認識度合い

 クラウドサービスを利用している63社のうち、割り切りが必要だと「思う」と「やや思う」を合わせた回答比率は、約8割(49社)を占めた。クラウドサービスを「1年以内に利用する予定」という会社も傾向は同じだ。

 一方、「クラウドサービスの利用時期は未定だが検討している」とする会社の場合、サービスの内容や品質に対する割り切りが必要と「思う」または「やや思う」と回答した割合は約5割である。クラウドサービスを利用していない企業のCIO/システム部長は、先行企業に習って、割り切り発想でクラウドサービスを検討するのが得策だろう。

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