急激な円高や海外での金融不安など、経営環境が目まぐるしく変化している。ユーザー各社は思い切ったIT投資を先送りする状況が続いていたが、2010年下期から2011年の上期にかけて緩やかに、開発分野へのIT投資意欲が回復しそうだ。

 予算ではなく実際に執行したIT投資額の増減を把握するため、日経コンピュータと日経BPコンサルティングは定期的に「IT投資DI(ディフュージョンインデックス)」を調査・算出している。最新の「景況・IT投資動向調査」によると、開発分野のIT投資DIが2010年10~12月期にプラスに転じることが分かった。

開発分野のIT投資DIがプラスへ

 IT投資DIは、実際に執行したIT予算額(人件費を含む)が、前四半期よりも「増えた」割合から「減った」割合を差し引いて求める。開発分野(中・大規模な保守開発を含む)におけるIT投資DIの推移を図1に示す。

図1●開発分野のIT投資DIの推移
図1●開発分野のIT投資DIの推移

 開発分野のIT投資DIは回復基調にあり、2010年10~12月期には2.2ポイントのプラスに転じそうだ。前回の調査では7~9月期にプラスに転じる見込みだったが、今夏の急激な円高の影響で、予算執行の判断が後ろにずれ込んだと考えられる。

 図2に、開発分野のIT投資DIの内訳を示す。ここで注視したいのは、IT投資が前四半期より「増えた」企業と「減った」企業の二極化が進んでいることだ。

図2●開発分野におけるIT投資額(予算執行額)の四半期ごとの増減推移
図2●開発分野におけるIT投資額(予算執行額)の四半期ごとの増減推移

 2010年10~12月期に開発分野のIT投資を前四半期(7~9月期)より増やす企業は、全体の23.3%を占める。その一方で、減らす企業も21.1%存在する。IT投資が増えた企業の割合は、4~6月期以降、順調に高まっている。しかし、投資が減った企業の割合は常に20%前後を推移する状態が続いている。

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