財務会計、人事給与、生産、販売といった企業の基幹業務プロセスをサポートするエンタープライズ・アプリケーションの代表格として、ERPパッケージが多くの企業に利用されるようになっている。
ガートナーでは、ERPを「企業における財務、人事、生産といったバックオフィス業務プロセスを自動化/支援するためのアプリケーションスイートに焦点を当てたアプリケーション戦略」と定義している。
ガートナーが1990年にERPという概念を定義してから20年以上が経過しているが、そのような成熟市場においても、インターネット経由でERP機能を利用するクラウド/SaaS(サービスとしてのソフトウエア)の進展、サービス指向アーキテクチャ(SOA)やビジネスプロセス管理(BPM)への対応に伴うアーキテクチャの変革、モバイル機器からの情報アクセスやソーシャルソフトウエア連携をはじめとするコンシューマーITの取り込み---といった様々な新しいトレンドが見られるようになっている。
こうしたテクノロジトレンドは、これまでの「柔軟性に欠け使いにくい」というERPパッケージに対するネガティブな印象を打破するものとして期待されており、製品の選定基準や導入・活用のあり方に影響を与えるとともに、企業のIT部門にも意識の変化を促している。
ベンダー側の具体的な動きとしては、OracleやSAPのような外資系メガスイートベンダーをはじめ、日系ベンダーを含む中堅ベンダーからも、SOA/BPMツールによるグラフィカルなビジネスプロセスモデリングを通じて開発を行える先進的なアーキテクチャ(モデル駆動型パッケージ・アプリケーション)や、クラウド/SaaSに対応した次世代製品が市場に投入されつつある。