医療機器販売を手掛けるコヴィディエン ジャパンは、iPhoneを約1000台導入し、営業活動の改善に取り組んでいる。同社は2010年8月にiPhoneを、同社と同社の関連会社である日本シャーウッドの営業担当者に配布した。外出先でのメールやスケジュールの確認と、動画再生機能を使ったプレゼンテーションに役立てている。

 同社のIT戦略を主導するのは米国本社のIT部門である。iPhoneは米国本社が推奨するスマートフォンではなかったが、コヴィディエン ジャパンは米国本社を説得し、導入を決めた。

 「空いている時間を有効に使えるようになり、営業担当者の残業時間が減った。テスト導入時で、1日当たり30~40分減ったことが分かった」と、コヴィディエン ジャパン営業管理部の中川新悟部長は話す。

動画で効果的なプレゼンを実現

写真1●コヴィディエン ジャパンの営業担当者が動画で医療機器のプレゼンテーションをする様子
写真1●コヴィディエン ジャパンの営業担当者が動画で医療機器のプレゼンテーションをする様子

 コヴィディエン ジャパンがiPhoneに着目したのは、動画を手軽に再生する機能があったためだ。同社は早くから、自社製品を使う様子を撮影し、顧客である医療関係者に動画でプレゼンテーションするという営業活動を進めていた。

 しかしノートPCで動画を再生しようとすると、OSを起動し、動画ファイルをダブルクリックするまでに数分間の待ち時間が生じる。営業担当者が医療関係者からまとまった面会時間をもらうのは難しく、この数分間をどう解消するかが大きな課題だった。

 「2008年にはDVDプレーヤーを配布したこともあった。しかし営業担当者が常時持ち運ぶには耐久性に問題があった」と中川部長は振り返る。

 同社が次に注目したのは、音楽プレーヤー「iPod touch」である。手軽に持ち運べる上に、動画再生能力が高い点を評価した。テスト導入も実施したという。

 その後iPhoneが登場したため、導入を決めた。動画によるプレゼンテーションに加えて、外出先でのメールの確認やグループウエアへのアクセスも利用できるためだ(写真1)。これにより、営業先での待ち時間を有効に使えるようになり、残業時間を短縮できたという。

本社推奨アプリを選定

 また、同社は営業支援システム「SA2(Sales Accelerator 2)」を、iPhoneからも使えるようにした。SA2は、営業担当者が扱う商品に関連する文書ファイルを、ネットワーク経由で閲覧できるようにするシステム。閲覧するファイルは、製品資料や関連する文献などである。

 SA2はパソコン向けのWebアプリケーションだったが、WebページをiPhoneから利用できるように修正した。さらに現在、iPhoneで動作するSA2のクライアントアプリケーションを開発中である。

 「担当者にはiPhoneを自由に使うよう伝えてある。自分の業務に役立つソフトを自分で見付けた方が、より効率化できるはず」と、コヴィディエン ジャパン 情報サービス本部システム管理部の永野信之部長は話す。iPhoneを配布するに当たっては、特に制限を設けなかった。営業担当者は、アップルのソフトウエア販売サイト「App Store」から自由にソフトを購入できる。

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