三菱UFJリースは2011年5月をメドに、グループ15社が利用する基幹系システムのインフラを刷新する。システムの重要度に応じてデータを格納するストレージを分けたり、サーバーの利用効率を高める仮想化技術を活用したりして、初期投資を抑える。

 「今後、前年比2割弱のペースで増え続けるだろうデータを、やみくもに高価なストレージに置くのは得策ではない。投資負担を抑えるため、データの重要度や利用頻度に応じてストレージを区分すべきと判断した」。三菱UFJリースの影山哲久情報システム部運用管理グループ課長はこう話す。

 データ量が増える一因に小口取引の拡大がある。例えば自動販売機をリースする場合、これまでは数千台を1件の契約として扱うケースが多かったが、今後は小規模事業者との取引も増やし、数台や数十台単位で契約を結ぶケースも増えてくるという。

ストレージへの投資を半減

 こうしたデータ量の急増に伴うストレージへの投資負担を抑えるため、重要度と保存期間に応じてデータを格納するストレージを分ける。具体的には、日本IBMの2種類のストレージ「IBM System Storage DS8700」と「IBM XIV Storage System」を新たに導入。会計や契約管理、資産管理といった基幹系については、データの保存期間を問わず、高価なSystem Storage DS8700にデータを格納する。

 一方、情報系のDWH(データウエアハウス)については、直近3カ月のデータはSystem Storage DS8700に、それより古いものは、System Storage DS8700に比べ安価なXIV Storage Systemに格納する。ストレージ間のデータ移行は、3カ月ごとにバッチ処理で実施し、DWHに格納したデータで保存から3カ月を経過したものをSystem Storage DS8700からXIV Storage Systemに移す。

 従来、三菱UFJリースは、システムの重要度やデータの保存期間を問わず、すべてのデータを日本IBMの「IBM System Storage DS8300」に格納していた。データ管理について、今回の仕組みを採用することで、これまでと比べストレージに対する投資を半分程度に抑えられるという。

 仮想化技術を使ったサーバー統合については、米ヴイエムウェアの仮想化ソフトを使い、現在26台あるサーバーを7台に減らす。

 システム構築は三菱電機インフォメーションシステムズが担当。投資額は公表していないが「2005年に稼働した現行システムの構築費用と同水準になる」(影山課長)という。刷新により、システムの処理性能は2倍超に高まるが、データ管理の工夫や仮想化技術の活用で、現行システムと同水準の投資に抑える。