ケース1:最新ハードウエアで旧OS用アプリケーションを使う
仮想化製品を最も普及させたのが,既存のOS環境を新規ハードウエアへ移行させるツールとしての用途である。OSのサポート期間終了に伴い,システムのメンテナンス上の問題が生じたり,新規ハードウエアがその古いOSに対応していないという現実にさらされたりしたのである。その結果,旧OS上で動作していたアプリケーションを新OS上に移植する作業が必要となった。
もちろんアプリケーションを新OSに移植する方法もある。ただし,移植するアプリケーションのステップ数,仕様書,テスト計画などの問題があり,実際には多くの工数と期間が必要になる。
そこで,仮想化技術によって旧OSを実装したゲストOS環境を新OS上に構築し,旧アプリケーションをそのまま実行させる方法が,最近利用され始めてきた(図3)。この方法では,短期間で新OSに移行できる。ただし,旧OSにしか対応していないアプリケーションを使用しているため,将来は再び何らかの対応策(移植作業や再作成)が必要となることは覚悟しておく必要がある。
図3 旧OS用アプリケーションを利用するために仮想化技術を使う
 |
ケース2:開発環境を標準化する
最近,「標準化」という言葉が広まってきた。標準化のために仮想化技術を使用する場合が多くなってきている。標準化と一言で言っても,粒度が異なる様々な場合があり,とらえ方も三者三様である。一般的には,ハードウエア,OS,アプリケーションといったベースとなる部分が多く標準化されている。
特に開発環境では,これら3層での標準化による高効率化と,管理性の向上が図られている。具体的には次の2つのポイントがある。
まずは機器の標準化だ。開発環境(開発用機器)が複数あると,その保有・管理コストがかかる。このコスト低減を目的として,仮想環境を使用して開発機を集約する。
次に開発環境の標準化である。開発要員が利用するOS環境を一元化することで,複雑化する開発環境の管理を軽減する。開発要員すべてに同一のゲストOSを配布し,使用することで,開発環境の新規導入が迅速にできるだけでなく,OSのパラメータやパッチなどの管理コストを軽減できる。さらに,開発環境の不一致が原因の開発遅延を軽減できる。
仮想化された開発環境を利用すると,さらにゲストOSのテンプレート(仮想環境のバックアップ・イメージ)を使用すれば,発生したトラブルへの対応やシステムの変更などにも,正確かつ迅速に対応できる。このような用途は,特にエンタープライズ系の開発環境への適用が多い。
ケース3:システムを集約する
サーバーの台数を削減したり,サーバー・リソースの利用率を最適化したりするために,仮想化技術が広く利用されている(図4)。従来の「1サーバー・マシン対1OS」ではなく,現在では仮想化技術を使用して「1サーバー・マシン対複数OS」の実装が可能となっている。1台のサーバー・マシン上に,異なるOSが混在した環境の構築も可能である。各ゲストOSを,あたかも論理的に切り離された1台のサーバーとして使用できるため,限られた物理リソースを最適に使用できる。
図4 サーバー集約のために仮想化技術を利用する
 |