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熱と闘うIT〈Part1〉 暑い夏,熱と闘う武器は空気か水か?“静音”水冷ワークステーションの技術に迫る


 「ユーザーは高性能で信頼性が高く,それでいて“静かな”ワークステーションを求めている」――。NECがこの要求を満たすために開発したのが,7月に登場した水冷式ワークステーション「Express5800/54Ca」だ。ワークステーションとしては,業界初となる水冷式冷却ユニットを搭載する(写真1,写真2)

写真1 水冷式ワークステーション「Express5800/54Ca」
写真1 水冷式ワークステーション「Express5800/54Ca」
写真2 水冷式冷却ユニット
写真2 水冷式冷却ユニット

写真3 クライアント・サーバ販売推進本部の小竹章博マネージャー
写真3 クライアント・サーバ販売推進本部の小竹章博マネージャー

 コンピュータの冷却方式はファンを使った「空冷式」が主流。一方,水冷式はファンの代わりに冷却ユニットなどを取り付ける。コストは空冷式よりも高くなるが,ファンを取り除くので静音性を保てる。空冷式と水冷式はそれぞれ一長一短である。ただ,静音性を重視すれば,水冷式がベストの選択になる。
 現在,NECは空冷式だけではなく,水冷式の製品も開発する数少ないメーカーだ。パソコン,サーバー,ワークステーションの各製品で水冷式の機種を用意する。ワークステーションでは「『静かできょう体背面からの排気風量が少ない製品はないのか』というユーザーの要望が以前からあった。この要望に応じるために検討した結果,水冷式の採用に行き着いた」(NECクライアント・サーバ販売推進本部の小竹章博マネージャー,写真3)。


CPUを74度以下に保て

写真4 NECの府中事業所。東京都府中市にある
写真4 NECの府中事業所。東京都府中市にある
 水冷式ワークステーションの開発を担当したのはNECの府中事業所。都心から電車とタクシーを乗り継いで数十分の所にある。同事業所は,サーバーやワークステーション,スーパーコンピュータなどを開発するNECの一大拠点だ。ここには長年のコンピュータ開発で培われた多くの冷却技術が蓄積されている(写真4)。スーパーコンピュータ「SXシリーズ」でもかつては水冷式を採用していた。
 では冷却技術によって何を冷すのか。
 この答えは明確だ。ワークステーションの発熱は「半分くらいがCPUから」(NECクライアント・サーバ事業部第二技術部の富田秀明技術マネージャー,写真5)。CPUの冷却が最優先課題である。
 Express5800/54CaはCPUにインテルのPentium 4を採用する。同CPUの安定動作を保証するには,CPUの表面温度を74度以下に保つ必要がある。74度を超え一定の温度以上になると,CPUが備える自己保護機能が作動し,性能の低下や機能の停止が起こる。ちなみに,先日発売された新CPU「Core 2 Duo」であれば,表面温度60.1度以下が安定動作の条件だ。
 自己保護機能には二つの種類がある。まず,「80〜90度を超えるとインテル製CPUは『縮退』を始める」(NECクライアント・サーバ事業部第二技術部の福島徹・担当)。縮退とは動作周波数を落とし,それ以上の発熱を抑えようとすることだ。当然,性能も低下する。縮退にもかかわらず温度が上がり続けて,CPU内部の温度が135度を超えると,今度は「サーマルトリップ」機能を発動。動作を止めてしまう。
 空冷式でPentium 4の表面温度を74度以下に保つには,高速回転する冷却能力の高いファンをCPUに取り付けることになる。だが,高速回転のCPUファンは騒音の源。一般に,ファンの回転数と騒音の大きさは比例する。

写真5 左) 水冷式冷却ユニットの開発陣。左が富田秀明・技術マネージャー。中央は江藤ジュン・クライアント・サーバ事業部第二技術部主任。右は福島徹・同担当
写真5 右) 開発では「FLOTHERM」という有限要素法の熱解析シミュレーション・ソフトを使って,きょう体内の熱の流れを分析
写真5 左) 水冷式冷却ユニットの開発陣。左が富田秀明・技術マネージャー。中央は江藤ジュン・クライアント・サーバ事業部第二技術部主任。右は福島徹・同担当 写真5 右) 開発では「FLOTHERM」という有限要素法の熱解析シミュレーション・ソフトを使って,きょう体内の熱の流れを分析

 

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