日経コンピュータExpress特別版:
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| 6月19日,みずほホールディングスの前田晃伸社長は,日銀記者クラブで会見し,4月に起こしたシステム障害の原因と再発防止策を説明,記者からの質問に答えた。2時間近くにわたった会見には,工藤正頭取とみずほコーポレート銀行の齋藤宏頭取も同席した。本誌は,特定の記者しか入れない日銀記者クラブの会見内容を入手,その全貌を完全公開する。 |
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テスト状況の情報は竹中CIOで止まった
―― 先ほど,悪い情報が上に上がってなかったという話なんですけども,ちょっとこのままで行くと危ないという情報はどこまで上がっていたんですか。例えばこの竹中公一常務執行役員(6月17日付けで辞任したみずほ銀行前CIO)ですね。この方はそういう認識はあったんですか。
前田 いや,私どもが調査した限りではそういう認識ではなかったと思います。
―― じゃあどこまで上がっていたんですか。
前田 いやですから,そこまでは上がっていたということなんでしょうが,そこの責任者の方が,大変だという認識をされなかったということだと思います。
―― 竹中さんが,本来だったら認識すべき情報が上がっていたにもかかわらず,認識不足だったということですか。
前田 はい,残念ながら認識がそうでなかったんではないかと。逆に言いますと,過去の経験から大丈夫だと,そういうことを考えられたんだと思うんですね。過去の経験から,ずっと口座振替をやってきているわけですから,要するにだめだという判断をされなかったということなんです。
―― この人の下の人は,これはちょっと危ないかもしれないと,こういうケースになるとちょっとだめかもしれませんよという情報は上げていたわけですか。
前田 いや,ここは私も詳細はそこらへんまではちょっと。個別のやつはわかりませんが,少なくとも判断をする段階で,それから上に上げるという判断をしてなかったということでございます。要するに開発責任者でございますから,そこから上に大変だという報告が行ってなかった。ここに述べた通りでございます。
―― しかしこの人はそういう情報がなかったら,判断もしようがないですよね。どこで止まったのかという,そこをやらないと内部調査をやったことにならないでしょ。
前田 止まったということではなくて,適切な情報が上がらなかったんです。全部上がっていれば,例えばここで申し上げましたように,いろんな断片的に,実はテストが足りないとか,いろんな状況がちょこちょこ起こっているんです。ところがそれをすべて判断する立場にいた方がCIOですから,その情報がずっと全部上がって,的確にそういう具合に認識されれば,それは何らかの手を打ったんだと思うんですが,そこを何らかの手を打たなくても大丈夫だということで。ですからそれ以上上に上がらなかった。それからみずほホールディングスにも行かなかったという状況が起こったんです。ですから,残念ながら結果としてこういうことが起こったということなんです。ですからこの担当役員が大変だということになれば,当然ボードのトップに行って,みずほホールディングスにも言うということになりますが,そこが言ってなかったということが今回のように大変に残念なことに。
―― それは結果的にはそうかもしれませんけど,竹中さんにもそういう大変だという情報が上がってなかったかもしれないというふうにおっしゃったわけですね。
前田 いえ,上がっていたか,上がってなかったかというのは,実は私はわからないんですが,調査した限りでも,ちょっとこの点は工藤頭取に代わります。
―― それはしかしちょっと。
工藤 こういうテスト結果ですとか,新しい統合に伴う開発等々で,なかなかCIOのところまで上がっていて,彼がしかしながらこれは統合までに間に合うという判断で,一任ですとか,当時の経営陣に報告しなかったものもございますし,そうでなくてその中間段階で同じような判断をしたものもあると。一つだけではございません。幾つかの情報はあるところ止まりで,幾つかの情報はもう少し上まで行き,幾つかの情報はCIOのところまで行っていたというのが…。
―― わかりやすい具体例をおっしゃってください。何かよくわからない。具体的にどういうことについてはCIOが理解したけども,上に上げなかったと。こういう例だったらCIOまで行かなかったとか,例はないんでしょうか。
工藤 例えば,プログラムのミスというようなもの,ちょっと私も専門家でないのであれですけれども,そのようなものはCIOのところまで上がっていなかったと。それから例えばテスト結果については,CIOのところまで上がっていたということでございます。
―― テスト結果はどうだったんですか。テスト結果がうまく行ってなかったと。
工藤 うまく行ってないというか,4月までには追いつくという判断をCIOがしたということでございます。
―― それはCIOに上がっていたという。
工藤 はい。
―― 追いつきますということが上がって,CIOの方も認識していたということですか。
工藤 はい。
―― 今後のシステム統合のあり方なんですけれども,来年の3月,例えば完全統合をやっていただくと思うんですが,もうそろそろ店の勘定系を移行しないといけないと思うんですが,これについては早期に方針スケジュールを決定すると,もう決めないと間に合わないと思うんですけど,このへんは。
工藤 文字通り早期に方針スケジュールを決定しなければならない。ただ先ほど申し上げました通り,来年3月の開始に間に合うかどうかということについて,当然のことながら,若干の懸念があるということでございます。ただもうほんとにやらなければならないということは間違いないことでございます。私が申し上げたのは,平成18年3月末が約束している時期でございますけれども,そんなことはできないというふうに申し上げたわけでございます。
―― いつまでにやるんですか,それは。それまでにはできないと。前倒しをされるんだということですけれども,いつまでにという具体的なメドはあるんでしょうか。
工藤 ですから,いつから開始できるかということによって違ってこようかと思っております。通常であれば,私,前の会見のときに2年間でやりたいという意気込みでというふうに申し上げたんですけれども。
―― さっきの話に戻るんですけど,プログラムミスについてはCIOまで上がっていなかったとおっしゃいましたよね。
工藤 はい。
前任のCEOが「テストしていない」を見過ごした
―― 一方で,テスト結果は4月までに追いつくという判断が上がっていたとおっしゃいました。そうすると。
工藤 いえいえ,4月までに追いつくという判断を竹中君以下がしたと。または,いろんなものがありますので,一つの情報とかそういうものじゃありませんので,最終の判断はCIOが,この程度だったら4月までに間に合うという判断をしたものもございます。
―― 全工程を通す本番を想定したテストというのは,結局実施されてないわけですね。ここに出ていますけども。そのことについては,トップの方々は認識されていたんじゃないんですか。つまり本番,全行程スルーのテストをやりますよね,これが間に合いませんでしたということについては,もう3月31日時点で把握されていたんじゃないんですか。
工藤 大変申し訳ないけど,把握してないんです。
―― テストやってなきゃ,やってないことはわかるじゃないですか。やっておれば,やっていると言えるでしょ。しかしやっていなければわかるんじゃないんですか。今,全行に対するテストをみずほグループでやっているという,作業をやっておれば,皆さんご存じだったはずでしょ。それをやってないということをご存じだった。やってないというのは認識されていたわけでしょ。
工藤 いえ,やってないということ自体も。
―― 認識されて。CIOというのはその技術の責任者だけれども,みずほ銀行のCEOというのは,全体に対する責任はありますし,みずほホールディングスの責任者も全体としての責任はありますよね。CIOとの間のやり取りはなかったんですか。CIOに聞くということはなかったんですか。これで大丈夫なのかということを。
工藤 ありませんでした。
―― CEOというのはどういう役割ですか。技術のことは任せておっても,全体の経営についてはCEOが責任を持っているんじゃないんですか。ですから聞かれるか,報告を受けるか,ということを求めるのがCEOの役割でしょ。
工藤 ですからこれはあんまり申し上げたくないんですけれども,その3月以前。
―― 以前のCEOの責任ですか。
工藤 いやいや,ですからそういうこと。
―― ならば先ほどの議論に戻って,退職金の議論に戻るんじゃないですか。
前田 私が全体で聞いている限りのことを申し上げますと,CIOは,ここにいろいろ書いてありますが,適切な報告を,経営陣というのはこれは当時の旧経営陣に上げてなかったということなんです。それからみずほホールディングスにも上げてなかったんです。上げてなかったものですから,旧CEO,それからみずほホールディングスの3人の共同責任者も,要するに問題はないという認識で移行を判定したということなんです。それをここで申し上げました通り,詳細に調べましたら,要するにテストは不完全でしたと。要するに全部完全にスルーのテストになってなかったんですと。なってないにもかかわらず,要するにほぼ大丈夫だという報告になったいたということなんです,逆に言いますと。
―― 3CEOはテストは終わっているもんだと。
前田 ええ,ですからその旧3CEOは,テストは終わったと,そういう認識をしていた。
―― 大丈夫だと。
前田 はい,そうだと思います。テストが終わってないということで,大丈夫だとは普通判定しませんので,もちろん一個一個個別のやつを見たうえで,これは口座振替だけじゃありません。膨大にいろんなものを全部チェックして,移行判定しているわけですから,それを見ながら最終的に判定をしているわけです。ですからそこに,要するに報告に不適切なのがあったので,残念ながらこういう結果が起こったということなんです。
―― というのはそこの竹中さんのところには上がっていたわけですね。
前田 いや,上がったというか,工藤頭取が言われたように,テストというのは実は1回だけじゃなくて,1,2,3月ともいろんなテストをずっとやっているんです。あらゆる局面でやっていまして,その中で1回テストをしてリカバーできればそれで完了なんですよね。ところが,一個ずつパーツのテストをしまして,最後は通しで全部やらなきゃいけない。口座振替で申し上げますと,振り分けシステムがあって,実際に引き落としをして,今度は還元資料をつくって,全部再集計して出来上がったところで,お客さんのところに正規のデータが行くんですよ。その通しのテストができてなかったんです。ですからそういう意味では不完全だったわけなんです。結果として不完全なんです。ただそれを,いや大丈夫だという判断を,間に合うと,そういう判断を多分CIOはされたんです。ですから,それ以上に経営に,これはできませんという報告は実は行ってないもんですから,残念ながらこういうことが起こったんです。
―― (辞任した竹中前)CIOというのは第一勧銀のCIOさんですね。
前田 はいそうです。
―― 今前田さんは,そうは言っても大丈夫かと。上から声を掛けないといけなかったんじゃないかという反省はあるとおっしゃった。まさにその部分。
前田 今になればですね。これは体制が3月31日以前の体制ですから,3人の頭取がいまして,みずほホールディングスは3人の共同責任者ですから,ある意味では開発責任行は自分であり,かつ共同責任者でもあるわけなんです。ですから,それぞれ単独で責任を持ってやっていましたので,今になって思えばというのは,まさにそういうことでして,持株会社に専任社長はいませんので,ただ持株会社にもCIOがいましたから,CIOが,そうは言ってもほんとに大丈夫ですかと,一個ずつ聞けば良かったという,そういう反省なんです。それはすべてに言えることでして。ただそういう役割機能をみずほホールディングスのCIOには持たせてなかったんですよ。それはなぜかといいますと,それぞれの3行が責任をもって開発するという,そういうことをある意味では厳格にして,その方がリスク分散ができていいと。そういう判断をしたものですから,それに基づいて行った結果が,実はちょっとこういうことが起こって,非常に大きな迷惑をかけたということなんです。
みずほHDの3CEO体制がチェックのカベに
―― でもみずほホールディングスのCIOには権限がなくても,でもまさにみずほホールディングスのCEOは,そこを突っ込んで。
前田 みずほホールディングスのCEOって3人なんですよ。3人ですから,自分のことを自分で突っ込むというのは変な話ですから,みずほホールディングスでシステムを開発していれば,それはそういうことになるんですけど,それぞれ開発している銀行が三つあるわけですから,そこで自分でチェックするしかない。ところがそこに,さっき申し上げましたように,正確な情報が上がってないんですよ。ですから上がらなくても手を突っ込めと言われると,それは反省すべきことだなと。それはその通りなんです。これだけのプロジェクトですから,そうは言っても,一個ずつ全部大丈夫ですかと聞くべきではなかったかと。それは我々も同じことでして,それぞれの立場で大丈夫なのかと聞くべきではなかったかと。これだけのばかでかいシステム開発をやっているわけですから,これだけではありません,9万人・月というものすごい数の工程で,膨大なシステムを大量につくって,検証しながら全部リリースしたわけですから,それを一個一個それぞれチェックしているんですよ。
―― ただ,開発責任行の最高責任者というのは頭取ですよね。当時は杉田さんが頭取ですけど,竹中さんは杉田さんに対してはマイナス情報というのは上げていたんですか。それはどうなんですか。
前田 いや,上がってなかったと思います。
★ 前田(工藤頭取に回答を促す)
★ 工藤(私ですか・・・)
★ 前田(頷く)
工藤 上がっておりません。
―― 上がってない。
工藤 はい。
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