ユーザーのログオンやファイルの操作を記録するため,監査ポリシーを設定しようと考えています。そこで,グループ・ポリシーで「監査ポリシー」を設定しました。この際に,結果を記録する領域を十分に確保しようと,イベント・ビューアのセキュリティ・ログ容量をコンソールから指定できる最大値に設定しました。 すると,イベント・ロギング・サービスの動作が不安定になり,ログの取りこぼしやログ・ファイルの破損が発生するようになってしまいました。また,Windowsそのものも,正常に起動しなかったりパフォーマンスが極端に低下したりします。このような状態はなぜ発生するのでしょうか,またどうすれば解決できるでしょうか?
今回のトラブルの根本的な原因はセキュリティ・ログの容量を最大に設定してしまったことにあります。この設定容量をより少ない値に設定し直すことで,Windowsが不安定になったり,ログの取りこぼしが発生したりすることはなくなるでしょう。
起動時に全ログをメモリーにロード イベント・ログ・サービスはサービスの起動時,つまりOSの起動時にログ・ファイルのすべてをシステム・メモリー上に読み込もうとします。しかし,システムに搭載しているメモリー容量には制限がありますし,そもそも現在のWindowsには「プロセスの合計が1Gバイト以上のメモリー・マップ・ファイルを使用できない」という制約があります。そのため,実際にイベント・ログ・サービスのプロセスが使用できるメモリー容量はさらに小さくなってしまうはずです。 これらの制限から,イベント・ロギング・サービスが使用できるメモリー容量は,おおよそ200M~300Mバイトになると予想できます(実際に測定した場合もほぼこの範囲になっているようです)。そのため,セキュリティ・ログのサイズは,すべてのイベント・ログの合計で300Mバイトを超えない程度に設定することが望ましいと考えられます。 それ以外に,Windowsのパフォーマンスが劣化する原因の1つとしては,メモリー・マップ・ファイルの断片化なども考えられます。
必要なログはテキストなどで別に保存 このような場合,ある一定の間隔でセキュリティ・ログをテキスト・ファイルなどの形式で保存しておくのがよいでしょう。このような用途のために,Windows XP以降のOSではeventquery.vbsというスクリプトが提供されています。 また,Windows NT 4.0とWindows2000のリソース・キットにも,dumpel.exeというツールが提供されています。これらのOSを使用している場合は,こちらのコマンドを使用してください。いずれのスクリプトやコマンドも,実行結果を標準出力に出力します(つまり,コマンド・プロンプトに出力することになります)。 ここでは,eventquery.vbsを例に使い方を説明します。Windows XP以降のOS上で以下のようなコマンドを入力してください。
CScript.exe %systemroot%\system32
すると,図6のようなイベント・ログが出力されますので,必要に応じて「>output.txt」などの記述を追加し,テキスト・ファイルなどに出力します。 こうすることにより,必要に迫られた際の解析にも役立つでしょう。当然ながら定期的な出力が必要なこともあります。その場合,ATコマンドなどでスケジューリングしてください。 各コマンドの使用方法については,ヘルプなどを調べてください。 マイクロソフトが国内で本格的に販売を予定しているMicrosoft OperationsManagerのようなシステム運用ツールを使用し,イベント・ログをログ・サーバー上で一元管理する方法も考えられます。これらのツールは有償ですが,より強力な運用ツールになるでしょう。使用方法などは各ツールの利用手引きやマニュアルなどを参照してください。 (山岸 真人)
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監査ポリシーを設定するとWindowsの動作が極端に遅くなる
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